お前は ページ31
もしかしたら、心の何処かで躊躇っていたのかもしれない。
兄様方の声が聞こえた気がした。
A、力を解き放て、と。
技の連続で体力が削られているが、確実に敵は細かくなっていっている。
奴の再生速度よりも、上回ってしまえば……!!
『いいか? A、まだ力がないうちは、とにかく速さだ。そして、相手の急所を的確に狙うこと。』
蘇る鍛錬の日は、今思えば鮮やかであった。
『星の呼吸・肆ノ型、星離雨散!!』
もっと速く、もっと細かく……!
否が応でも、焦りが滲み出てくる。
頚を、頚をと先走ってしまいそうで怖い。
今の状態で頚を狙えば、確実に私の上半身が吹き飛ぶ。
いや、下半身さえ残らないかもしれない。
光の錯乱にも慣れてきたのか、反応速度が先程までとは段違いに上がっている。
そして、得体の知れない奴の攻撃は、触れれば即座に死に至るのだろう。禍々しさが半端ではない。
対して異能の鬼との交戦経験もないというのに、私は余りにも早くに、この男と遭遇してしまったのではないか。
そんな自信の無さが遂に、決定的に現れた。
刃が………折れている!!
気付かぬ間に酷く刃こぼれしていたそれは、呆気なく折れてしまった。
ドスッ
「うっ!!」
腹部に一撃入れられた……!
今までの経験を遥かに超越する痛み。
内臓がやられてしまったかもしれない……。
歯を食いしばれ!
一体、何の為に鍛錬を重ねてきたというのだ?
何の為に、努力をしてきた?
思い出せ!!
私に出来ることを……兄様方から受け継いだものの全てを!!
「うわああぁぁぁああああ!!!」
『星の呼吸・陸ノ型、日月星辰!!』
頚をっ………斬った!!
「よくもまぁ、女ひとりでここまでやれたものだ。
一瞬ではあったが、久々に身の毛がよだった。褒めてやろう」
……何故?! 頚は完全に胴から離れているというのに!!
その男は、私の目の前に転がり落ちた頚を拾い上げ、カチリ、とくっつけた。
頭の中が真っ白で、もう何も考えられない。
なんで……………?
「もう一度問おう。お前、名前は何という?」
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藤葛(プロフ) - レモンティーさん» ありがとうございます! 自粛開けもちまちまと更新していきますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*) (2020年5月30日 21時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - この作品大好きです!!なんせ緑壱さんが推しなもので…(´∀`*)更新頑張って下さい!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
藤葛(プロフ) - 澪さん» わああ……ありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!!とても励みになります……頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!! (2020年5月20日 7時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
澪 - すごく好きです継国兄弟…こういう設定のもの大好きです…いいものを見させていただきました…ありがとうございます…!!頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 3時) (レス) id: c921836d0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年5月17日 4時