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実は、我々は ページ25

産屋敷邸に、Aを除く継国兄弟が呼び寄せられた。

お館様の質問に一つずつ答えていく、縁壱と巌勝。


「………では、彼女自身があまり覚えていないというだけで、君達二人は以前、あの子に助けられた事が何度もあったんだね?」

「「はい」」


当主は頭の中で、彼等兄弟の異母妹に対する認識、そして能力への評価を整理した。

彼等は幼い頃、何度も不思議な経験をしている。

例えばそれは、巌勝が賊に襲われかけたとき、それまで居なかった筈のAに導かれて逃げおおせたこと。

あるいは縁壱が父に手をあげられそうになったとき、思わず目を瞑った次の瞬間、彼はAの部屋にいたということ。

それらの出来事は、余りにも奇妙すぎた為に誰にも語られていなかったそうだ。

勿論、双子の兄弟である彼等同士でさえにも。


そして、『例の事件』を見ていた他の剣士によると、縁壱がまともに頬をしばいたにも関わらず、Aは大した怪我も負わずに済み、更にはあの縁壱が掌を痛がっていたというのだ。

「……縁壱、君にききたいことがある」

「何にございましょう」


「右手の調子はどうだい?」

ハッとした兄弟達。
当主は交互に彼等を見つめている。

やがて、縁壱がおずおずと右掌を広げて見せると、哀れむ声でこう言った。

「随分と痛かっただろう」

「はい」

兄は正直驚いた。弟が、素直に負傷を認めるとは思いもしなかったからだ。

赤黒く腫れている掌の色は、今まで巌勝が重ねてきた努力の証とも言えるどの血豆よりもひどかった。

……縁壱は、しつこく手のことを案じるAにすら、絶対にその姿を見せなかったというのに。

巌勝は改めて、お館様の不思議な力をしみじみと感じた。

信頼→←才を持つ者*主人公side



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藤葛(プロフ) - レモンティーさん» ありがとうございます! 自粛開けもちまちまと更新していきますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*) (2020年5月30日 21時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - この作品大好きです!!なんせ緑壱さんが推しなもので…(´∀`*)更新頑張って下さい!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
藤葛(プロフ) - 澪さん» わああ……ありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!!とても励みになります……頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!! (2020年5月20日 7時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
- すごく好きです継国兄弟…こういう設定のもの大好きです…いいものを見させていただきました…ありがとうございます…!!頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 3時) (レス) id: c921836d0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年5月17日 4時

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