鬼さんと鬼ごっこ*1 ページ19
「へっ?」
走れ走れ走れ!!
「………どういうこと?」
走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ!!!!
『今のは何だったのか?』を知りたがる私と、
『そんなことはどうだっていいから、とにかく逃げろ!!』と言う私。
さっきまで走馬灯を見かけていた私は、走りながらその続きを見ていた。
頭がまさに混乱状態にあった………。
こんなに走ったのは、お家から逃げ出した日と、鬼との鬼ごっこの時以来だ。
ぜえぜえと息をしながら、それでも走り続ける。
お家から逃げ出した私は、ある日親切な老夫婦と出会い、十数年ほど一緒に暮らし、育てていただいた。
夫婦は子供に恵まれなかったため、私の事をまるで実の娘の様に大切に育ててくれた。
集落から遠く離れた所に家があったため、老夫婦は縁談に恵まれない私の事を案じていたが、私は家族を得られた事だけで十分幸せだったので、さほど気にしていなかった。
ある日の夜、別離は唐突に訪れた。
眠っていた私達は、物音に気が付き不審がって目を覚ますと、不気味な声とともに足音が近づいて来るのを感じた。
「いるなァ、若い女が……あとは爺さんと婆さんかァ?
残念だが、俺は若けェ奴の肉が食いてぇんだ。アッハッハ、泣こうが逃げような、一切無駄だぞォ?!」
「A、大丈夫よ……! A、大丈夫……!!」
私を抱き締めて震えるおばあさんの声。
おじいさんが、台所から持ってきた包丁の柄を握る。
……無理だ、勝てっこない………!!
私は必死になって考えた。若い女がいいと言うのなら、私が囮になれば、二人は助かる筈……!!
私は、おばあさんの腕を静かに解いて外へ向かった。
「Aッ!!!」
「いったら駄目よ!! 戻ってきなさいッ……!」
振り返って微笑む。
「私は大丈夫!」
家の外へ出ると、暗くてよく見えないが、異形の者の姿がそこにあるのがわかった。
家とは逆の方向に向かって走り出す。
脚と体力にだけは、不確かな自信があった。
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藤葛(プロフ) - レモンティーさん» ありがとうございます! 自粛開けもちまちまと更新していきますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*) (2020年5月30日 21時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - この作品大好きです!!なんせ緑壱さんが推しなもので…(´∀`*)更新頑張って下さい!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
藤葛(プロフ) - 澪さん» わああ……ありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!!とても励みになります……頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!! (2020年5月20日 7時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
澪 - すごく好きです継国兄弟…こういう設定のもの大好きです…いいものを見させていただきました…ありがとうございます…!!頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 3時) (レス) id: c921836d0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年5月17日 4時