母の想い ページ13
揃って食事が出来た日には、神仏に、この世のありとあらゆるものに、深く感謝する。
それは時に草花であり、時に兎であり、時に鳥であった。
私の信心深さは、産みの母ではなく、奥方様のそれだと言われた事がある。
奥方様は、側室の娘である私の事も、可愛がってくださっていた………。
奥方様が身罷られる前日の事だ。私は初めて、奥方様のお部屋に呼び寄せられた。
奥方様は床に伏せっておられ、使いの者が湯や薬を用意したり、部屋を換気したりと、とにかく忙しなく動き回っていた。
そんな中、奥方様はただひとり、静かで落ち着いておられ、どこか違う空気を漂わせていた。
「A」
「はい」
「こちらへおいで」
私は、手招かれて傍に寄った。
「継国家の血を、志を、絶やしてはなりません。
A、あなたにも、その義務があるのですよ。
あなたの務めを果たしなさい。あなたにしか出来ない事が、この世には必ずある筈です。」
さらり、と髪を撫でられた。
私にしか出来ない事……。
私は、先ずそれを見つけなければいけないのだと理解した。
「女子には、女子の力があります。子を生む事も、人を癒す事も、女子に生まれたからこそ出来る事。
巌勝や縁壱に出来ない事が、あなたには出来る。
だからA、どうか頼みます………」
優しい風が、部屋の中を通り抜けていく。
奥方様は、懐から小さな巾着を取り出して、私の手に握らせた。
「これは……?」
「中をあけてご覧」
中のものを取り出すと、それは兄上の耳飾りと同じ、札の形をしたお守りだった。
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藤葛(プロフ) - レモンティーさん» ありがとうございます! 自粛開けもちまちまと更新していきますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*) (2020年5月30日 21時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - この作品大好きです!!なんせ緑壱さんが推しなもので…(´∀`*)更新頑張って下さい!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
藤葛(プロフ) - 澪さん» わああ……ありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!!とても励みになります……頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!! (2020年5月20日 7時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
澪 - すごく好きです継国兄弟…こういう設定のもの大好きです…いいものを見させていただきました…ありがとうございます…!!頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 3時) (レス) id: c921836d0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年5月17日 4時