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抱擁*2 ページ11

三人で食事をしながら、私は先程の話をした。

「私は覚えているぞ」

兄上の言葉を聞いて、私は思わず、兄様と顔を見合わせた。

兄様もどうやら全く同じ事を思っていたらしく、信じられぬといった様子で私達を見ている。

「………それでは兄上、あの時は、一体、どんな事について考えておられたのですか?」

「どんな事? あの時とは?」

「ほら、母上から菓子を頂いた時の事だ。……やはりお前、覚えていないのであろう?」

「いいえ兄上、私はしっかりと覚えております。

あの時は確か、雨上がりに虹が掛かっていたので、次の日の天気は晴れではなかろうかと………そう思っておりました」

「………その前に、頂いたお菓子を見つめておられましたよね? あの時は? 何について考えておられたのですか?」

私が詰め寄るので、流石に兄上も気圧されて、


「…………そこまでは覚えておらぬ」


と、渋々認めた。
「しかしA、お前はよく昔の事を覚えているが、そこまで詳しく覚えていたところで、何かの役に立つ事などがあるのか?」

兄様の疑問は、きっと兄上が思っている事と一緒だろう。

しかし私は、迷う事なくこう言った。

「思い出に傷つけられる事もありますが、それと同じ位に、思い出に癒される事があるのです。正確に覚えていればいる程に。」

お二人は全く同じ顔で私を見つめていた。


今まで自分達が辿って来られた道の事を、考えておられるのだろう。

私はうずうずして堪らなくなり、思わず叫び出したい気持ちに駆られた。

食事の時間でさえなければ、二人に抱きついて困らせたのに。

今はとにかく飲み込んで、気持ちを切り替えることに努めた。

私の生き方→←抱擁*1



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藤葛(プロフ) - レモンティーさん» ありがとうございます! 自粛開けもちまちまと更新していきますのでこれからもどうぞよろしくお願いします(*^^*) (2020年5月30日 21時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - この作品大好きです!!なんせ緑壱さんが推しなもので…(´∀`*)更新頑張って下さい!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 0820e3db89 (このIDを非表示/違反報告)
藤葛(プロフ) - 澪さん» わああ……ありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!!とても励みになります……頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!! (2020年5月20日 7時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
- すごく好きです継国兄弟…こういう設定のもの大好きです…いいものを見させていただきました…ありがとうございます…!!頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 3時) (レス) id: c921836d0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年5月17日 4時

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