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第六話 ページ6

痛い。ジンジンと痛む。
布団の中で、恐る恐る、左の肩に手をやる。
そこは少し腫れ、赤黒く変色していた。

あの人に、噛まれたからだ。


あの人は、この事は絶対に誰にも話してはいけないと云った。

勿論、話す相手など誰一人としていない私には、約束せずとも守れる事だ。

しかし、あの人に支配されている様な気がして、幸せな気持ちになる私は……異常か?


「A、いい加減に起きなさい」


姉さんの声が聞こえる。

更に深く布団に潜り込み、両の耳を塞いだ。
外からの音は要らない。あの人の声だけを、聞いていたい。





「……では、例えばの話だが………この私に少しずつ殺される、というのはどうだ?」


まさに、一目惚れ。

初対面の男性の余りにも狂気的な発言さえも、愛おしく聞こえてしまったのだから私が惡い。

私なんて、どうなったって構いやしないのだから。


こくこくと頷く私を抱きしめ、次の瞬間、肩に思い切り齧り付いた。


「………っあ!!」


耐え難い激痛に、全身が痙攣する。
頭の先から指の先まで、毒が廻ったみたいに、衝撃が走った。

脈の音がドクドクと鳴っている。
気付けば、目から涙がこぼれ落ちていた。


血を吸い取られているのか、湿った音と唇の感触が、痛みと混じり合って頭をおかしくする。
脳味噌が、渦を巻いている様な感じだ。

暫くすると、あの人は優しく背中を摩り、血に濡れた口付けで私の唇を塞いだ。

苦いものが、口いっぱいに広がる。


私の血。あの人が吸った、私の……血。

噎せかけて、息が上手くできなかった。

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- 作者様の前作から来ました!控えめに言って最高です。好き。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年11月9日 21時) (レス) id: 41175d901c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年7月13日 4時

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