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第十八話 ページ18

来てくれた!!
この私のところに、あの人が、来てくれた……!!


「巌勝さん……!」


私が声をかけるまでの間に、彼は私の家族を次々と吸収していった。
初めて見る彼の姿は、恐らく、鬼としての本来の姿。

私の家族は、皆彼の身体にくっついてひとつになってしまった。

六つの大きな目で私を見やると、いつもの調子で私に話しかけてきた。


「此奴等は………お前の血縁か?」

「ええ」

「その怪我は、此奴等にやられたのか」

「はい」


ゆっくりとこちらに歩いてくるが、心なしか足元が覚束無い様子だ。


「………巌勝さん?」


背筋がひやり、とした。

額に唇の感触をはっきりと感じる。前髪をかき上げ、舌で血を舐められている。

こそばゆいのは、その小さな口のそばにある目の長い睫毛か。


「随分と腫れたな」

「痛いです……………早く楽にして」

「誰に向かって口を聞いているのだ? それから、
私の事は黒死牟と呼べ。何度云えば解る」


いつもの洋装とは違い、本来の姿で凄まれて本物の恐ろしさを知る。

鳥肌の立ち方が違う、いつものぞくぞくする感じの様には楽しめない。


この、底無しの沼に突き落とされるかの様な恐怖。

全身が竦み、もう何をされていようが拒めない。
全てを投げ出した私を、今日こそは魂ごと何処か遠くへ連れて行ってほしい……!


口付けを重ね、溜まった血をまた吸い取られる。

次はどこを……と考えかけたとき、口を離し熱い頬を摺り寄せてきた彼は、完全に私の血に酔っていた。

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- 作者様の前作から来ました!控えめに言って最高です。好き。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年11月9日 21時) (レス) id: 41175d901c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年7月13日 4時

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