惚れた相手の正体は六ツ目の鬼でした【黒死牟】 (ページ16)

今日:10 hit、昨日:6 hit、合計:22,194 hit

第十六話ページ16

「やめろ！！おまえ、やめるんだ！！」

私の挑発に乗った母さんが暴れ出すと、騒ぎを聞きつけたのか、父さんが青ざめた顔をして部屋に入ってきた。

羽交い締めにされた母が、ジタバタと手足を振って
もがく。

「あぁっ、もう……！！離してよっ！！」

「暴力に訴えたところで、こいつは云う事を聞きいれる訳じゃあないんだぞ！！わかっているのか！？」

「父さん、母さん、お願いやめて………！！」

姉さんも駆けつけ、事は更に混沌さを増した。

「あんたのせいで………あんたのせいで、母さんまでおかしくなってしまったじゃないの！！」

そう叫び、私の首を絞め付ける姉さんは、泣きながらその手に力を込めた。

「あんたさえ、あんたさえ居なければ！！
母さんはね、誰よりもあんたの事を心配していたのよ夜も眠れないくらいに！！」

「……はははっ、それは嘘よ。だって私、帰ってきたときはまず一番に母さんの様子を確認しているもの。

もし本当にいつも母さんが起きてたら、毎日のようにフラフラなんてしていられないわ！！」

余りにも可笑しかったのでそう言い放ってやると、
姉さんはすっかり激昂し、私の首を掴んで離さず
そのまま壁に打ち付けた。

その時、隣の部屋から大きな足音が聞こえてきた。
扉が開くと、兄が頭に血が昇った顔で怒鳴りつける。

「うるっさいなぁ！！！
あんたら一体、何をやっているんだよ！！
どいっつもこいっつも、いい加減にしやがれ！！」

私が兄を見やると、相当気が立っているのだろう、近くにある椅子を投げつけ、しまいには姉と妹をひっぺがして一発ずつぶん殴った。