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第十二話 ページ12

______吃驚した。


口の中を舌で散々弄ばれ、噛まれた所から出てくる血を吸い取られた。

恥じらいを忘れてしまう程、丁寧に痛みを課せられて段々と意識が遠のく中、開けた目に入ったのは_____


「どうだ、A………私の顔は、酷く醜いだろう」


ギョロリと動く六つの目。

それぞれに長い睫毛が生えており、じっと見つめられれば睨み付けられた様な気持ちになる。

異形の姿であるのに関わらず、整った輪郭と眼差しの鋭さは、私の心を掴んで離さなかった。

禍々しさの中に感じる威厳。
彼は、人間ではなかったのだ……!!



「とても……綺麗」


彼の瞳が、一点を見つめる。私の目を。

小さな口にちらりと覗く牙は、私の血で紅くなっている。

伏し目がちな時の、貴方の表情が堪らなく好きなの。
今のその姿でも。


厚かましいけれど、そんな事は最早、気にしない。
彼の首の後ろに腕を回す。


「……まぁ待て、着る物の替えはあるのか」

「あっ………そう、それが無いので、これを
持ってきました」


そう言って黒い布を広げると、彼は怪訝そうな顔をした。


「素裸になるのは……恥ずかしいので」

「………では、目を閉じていてやろう」

「やはりお優しいのですね」

「………。」

「六つともですよ?」

「わかっておるわ」


そう、抱いてもらいたい、とは言わない。

あくまでも、血なら血を、肉なら肉を、骨なら骨を
あの人が欲しがる分だけ提供してあげる……。ただ
それだけの話なのだから。

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- 作者様の前作から来ました!控えめに言って最高です。好き。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年11月9日 21時) (レス) id: 41175d901c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年7月13日 4時

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