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第二話 ページ2

娘の名前は、Aというらしい。


「どなたか話し相手が欲しかったので……ありがとうございます。このお酒、とっても美味しいです!

失礼ですが、貴方のお名前を教えていただいても……よろしいですか?」


「………私の名は、巌勝だ」

「巌勝さん……。素敵なお名前でいらっしゃるのですね」


娘は余程嬉しかったのか、私が殆ど喋らずとも、その高く透き通った声でいろんな事を話した。

夢や憧れている世界と、現実は違うという事。家の中では、どうも居心地が悪いという事。結婚に憧れはあるが、自分で相手を見つけたいのだという事。

娘は意外と頭の回転が早く、私が適当に相槌をうっていると、だんだん質問をしてくるようになった。

それも自然に様々な事を訊いてくるので、その都度いちいち嘘をつかなければならない。


あのお方は長いこと愉しめるようにと、この早い時間から出歩く事にされたのだろうが……。
これでは埒が明かぬ。

稀血とはいえ、この娘一人に時間をかける位ならば私は鍛錬でもしていたい。

この擬態も洋装も、しょっちゅうする事ではないのであまり長くは持たないのだ。

私が間を見計らって席を外しかけると、娘は勘違いしたのか硝子の灰皿をこちらへ差し出した。


「どうぞ、お気遣いなさらないで」

「……ありがとう」


短く礼を言い立ち去ると、娘は何も言わずに微笑んだ。齢の割には賢く、機転も利く。
この稀血の娘、もしや使えるやもしれぬ。……まぁ、考えてはおこう。

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- 作者様の前作から来ました!控えめに言って最高です。好き。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年11月9日 21時) (レス) id: 41175d901c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藤葛 | 作成日時:2020年7月13日 4時

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