藤ノ花ヲ食ベテ【鬼滅の刃】 (ページ9)

今日:148 hit、昨日:321 hit、合計:1,577,640 hit

・ side カナヲページ9

師範に頼まれて、Aと一緒に屋敷内を案内する

きっと師範はお館様に報告に行くのだろう

……大丈夫、だろうか…

見た限りAが人に危害を与えるように見えないし、私と師範は傷付けられていない

こんなに可愛らしい子が誰かに危害を加えるはずないと確信している

けれど彼女は鬼

鬼殺隊の…敵であり倒さなければいけない相手

心配でAを見ているとこちらを向いたAと目が合った

「どうしたの？」

心配していたことを悟られないように笑顔を浮かべ、Aの顔を覗き込む

少し口をもごもごとしていたかと思うと口を開けて言の葉を紡ぐ

『あの…えっと、また頭…撫でてほしくて…駄目？』

そう言った彼女は私の手を緩く握って聞いてくる

彼女の言動一つ一つに愛おしさが込み上げて、つい顔を逸らしてしまった

どうしてそこまで可愛らしいの…

目を逸らし続けていると掴まれていた手の力が緩み、雰囲気から少し落ち込んでいるように思えてすぐに先程と同じように優しく頭を撫でる

すると、瞳を輝かせながら私を見てくれた

『カナヲちゃん……！』

「言ってくれれば、いつでも撫でるよ」

その瞳から伝わる好きだと言われている様な感覚にくらりと目眩がする

今の私はちゃんと笑えてるだろうか

…ああ、そういえば…師範に言われていた事を思い出した

「数刻経ったあとにAに藤の花をあげてください」

と言われていた事を

腰の巾着から藤の花を取り出し掌の上に置きAに見せる

「お腹、空いてない？大丈夫？」

『う…お腹空いた』

空腹感が体を襲ったのか、くるる…とお腹から音がする

それも可愛い…

すると目の前で口を開けるAに少しの間意味がわからなかった

しかし意味がわかると呆気にとられてしまう

私が彼女の口に藤の花を運んでいいのだろうか…