藤ノ花ヲ食ベテ【鬼滅の刃】 (ページ30)

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オ館様ノオ出マシページ30

柱の皆様とお喋りしていると誰か優しげな気配を肌で感じた

すっと奥の部屋に繋がる襖が開く

そこから出てきたのは目のあたりに怪我か病気か、何かなっている人

両手は白い髪の女の子に握られている

その人が出てきた途端に皆様は膝をついた

私もしのぶ様や他の皆様を見習って膝をつく

するとしのぶ様は小さな声で、よく出来ました、と言ってくれた

ちらりと様子を見ると皆様そわそわとしている様に感じる

「おはよう皆。今日はこの屋敷の中でだけれどよかったかな？
顔ぶれが変わらずに半年に一度の"柱合会議"を迎えられたこと、嬉しく思うよ」

この男性の声は優しくて頭がふわふわと楽になる感覚

ゆったりと、脳が落ち着いていく様な気がする

「お館様におかれましても御壮健で何よりです
益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」

ふわふわしているとしのぶ様の凛とした声が聞こえた

「ありがとう、しのぶ」

そうお礼を申し上げたお館様というお方は支えられながら畳の上へと腰をおろす

「今回の柱合会議はそこにいる鬼のAについての事だけれど」

自分の名前を呼ばれるとドキリとした

心臓の鼓動がいつもよりも早くて背には冷や汗をかく

手の震えも体に伝わってくる

何を言われるのだろうと身構えていると

「大丈夫だよ。そんなに怖がらなくてもいい
ここにいる皆といても襲おうとも食べようともしなかった。そんな鬼に処罰を下す程私も鬼ではないからね」

『は、はい……
あ…りがとう…ございます。お館様』

微笑まれると心が軽くなった気がした

しかしお館様はすぐに顔を真剣なものへと変え、私を見つめる

「そのかわりに誓ってほしい
もしも自身の力が開花した暁には…その力を人間の為に使うと」

その真剣な瞳と声に全身の血が沸騰した様に思えた

ああ、この人は本当に鬼を倒したいんだと

人の幸せを願っているのだと

この御方について行かずに誰について行くと言うのだろう

答えは決まっている

『誓います。力が開花した暁にはここにいる皆様やお館様、そして……守るべき人間の為に使うと』

これが、私の答え

鬼は倒すべきもの

人間は…守るべき大切な──