藤ノ花ヲ食ベテ【鬼滅の刃】 (ページ27)

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・ side 実弥ページ27

さっきからずっとこいつを見ているが怯えていて言葉も発しやがらねェ

絆されている奴らの気も知れねェが、特に俺に怯えてるのも少しイラつく

確かに鬼に優しくする気も仲良くする気もねェがそんなに怯えるもんか、普通

『あ、あの…不死川様…』

「おい鬼ィ！誰が喋っていいなんて言ったァ？」

『ひっ…す、すみませ…』

口を開いたかと思うと俺の名を呼ぶ

喋っていいなんて言ってねェだろうがァ

睨みつけながら言うと怯えた瞳が見えた

震える体

瞳には涙の膜が張って潤んでいる

が、泣くことはしねェ

目に溜まっている涙を着物の袖で拭うとこいつは俺を見つめてきやがった

そして近付いてくる

突然のその行動に後ろに下がった

俺が後ろに下がったのを見て瞳を大きく見開かせて口からは呆気に取られたような声を出す

しかしすぐに真剣な顔に戻ると俺の足に抱きついてきやがった

「おいお前…何抱き着いてやがんだァ」

『仲良くなりたいからです！駄目ですか！』

「無理に決まってんだろォ！」

離そうと足を振るが全然離れねェ

なんだこいつ、変な鬼だなァ

離そうとすればする程抱き着く力を強めてきやがってよォ

こいつを見るとその目には何かとは分からないが決意があるように見える

はァ…しょうがねェ

俺が折れねェかぎり諦めないだろうなァ

そう思いながら足に抱きついてやがるAを抱き上げる

『さ、実弥様！』

「ちっ…。テメェだけだぞ。仲良くしてやんのはよォ」

『はい！いっぱい仲良くしてください！』

抱き上げただけでその表情は明るくなる

笑顔を浮かべるAが弟や妹の顔に重なった

あァ、テメェはちゃんと守ってやる

昔俺が守れなかった分

もう二度と失ってたまるかよォ