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・ side しのぶ ページ3

鴉から告げられた任務によりとある町へ来て鬼を滅殺した帰り道


藤の花が咲き乱れる道


それは美しい一つの世界にも見えた


しかしそこに居たのは気配的に…鬼


それも顔立ちも可愛らしく、見ている分には絵になる…癒されるような


けれどなぜ藤の花の近くに鬼が?


近付いて害があるようならば優しい毒で殺してあげましょう


そして彼女に近寄ると、藤の花を手に取り口に入れて咀嚼を始めた


嚥下する様子を見て少し唖然としてしまった


藤の花の近くにいるのもおかしいが食べることも出来るなんて…


そうなれば彼女に毒は効かない…


私だけでは倒せないのでは…


しかし、まずは話してみることも大事でしょうと思い話しかける


「もしもし、お嬢さん」

『ひゃっ!?ご、ごめんなさい!』


気配を断ちながら近付いて話しかけてみると、それはそれは驚かれた


前に転んで鼻を打ってしまったのか目に涙を浮かべている


可愛らしい…


これが恋柱の彼女の言うキュンということなのでしょうか


鬼でなければ良かったのですけれどね…


起き上がった彼女は暫く私を見ていた


少し惚けているようにも見える彼女に質問を投げかけた


「お嬢さんはどうして藤の花を食べていたのですか?お嬢さんは鬼でしょう?」

『えっと、あまりにもいい香りが、したんです。鬼になってから…何も食べてなくて…それで…』

「鬼は本来藤の花を嫌うはずです。なのに貴女はなぜ…」

『わ、わからないんです!なにも…
人の血も臓器も脳も骨も見るのが怖いし食べるのも恐ろしくて…私にはできません!
だって私も少し前まで人間だったんだもん…』


体を縮こまらせ、涙を流す姿に先程よりも強く心をうたれた気がした


ずぎゅん、と音が鳴っているような


震えている彼女を見て強く、守りたいという欲が湧く


鬼であるにも関わらず


彼女は私の姉さんを殺した鬼の仲間…


そうは思ってもやはり恨むことなんてできない


不思議な鬼


近付いて肩に手を置くとびくりと彼女の肩が大きく震えた


まずは彼女が安心できるように笑顔を浮かべる


姉さんが好きだと言ってくれた笑みを


そして言葉を紡ぐ


「大丈夫ですよ。そんなに泣いてしまっては可愛らしい顔が台無しです。ほら、笑ってください
私は、貴女の笑顔が見たいです」


ああ、きっと私は彼女に絆された人間

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あまね(プロフ) - のぉぉぉぉ (1月3日 0時) (レス) @page41 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - 終わってしまって寂しいです (2023年1月29日 21時) (レス) @page41 id: c0f42fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
クロノト(プロフ) - つづき楽しみです頑張ってください (2022年10月7日 19時) (レス) @page41 id: 3be08e9739 (このIDを非表示/違反報告)
明太子 - オモロ (2021年8月30日 22時) (レス) id: ea655dc91f (このIDを非表示/違反報告)
推し信者 - 画像が見れません(T_T) 更新、楽しみにしてますね! (2021年5月10日 1時) (レス) id: 8c92c56944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白華まりあ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年9月29日 10時

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