藤ノ花ヲ食ベテ【鬼滅の刃】 (ページ15)

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・ side 蜜璃ページ15

「A、開けても大丈夫ですか？」

『は、はい…』

しのぶちゃんが木箱に話し掛けたかと思うと聞こえてきたのは可愛らしい声

カチャリという音と共に扉の鍵が開き、扉が開かれるとそこから小さな女の子がほんの少しだけ出てきた

周りを見るとまずはしのぶちゃんを見て、安心したかのような顔を見せる

可愛らしいわ！鬼だってこと忘れちゃいそう！

次に私を見たその子はじーっと見つめてくる

そんなに見つめられると少し照れちゃうわ…

でも、あの子は今きっと不安よね

知らない人ばかりの場所に連れてこられて不安にならないはずないもの

現に今も瞳は不安そう

その瞳を見て私は自分から鬼の子に近寄った

「お名前、教えてくれる？」

『あ、あの…A、と申します！』

「ふふ、顔も可愛らしいけれどお名前も可愛らしいわ」

名前を聞くと、少し不安げに声を震わせながらもちゃんと答えてくれる

そっと手を伸ばすと目をきつく瞑ってしまったけれど、危害を加えるつもりは無いわ、と思いを込めて頭を撫でる

「怖がらなくても大丈夫よ！
私はAちゃんに危害を加えるつもりはないからね！」

『…へ……』

口を開けて驚いた様な間の抜けた顔をして私を見てくるAちゃんはとても可愛かった

だってさっきはどこか他人行儀めいた言葉を使っていたもの

ただ一言でもそれは素のAちゃんだと思うと胸にキュンキュンとくるものがある

あぁ…可愛いわ！Aちゃん…妹に欲しいくらいだわ…！

そんなことを考えていると目の前のAちゃんは目頭に涙をため始め、数秒もしない内にその涙を零し始めた

小さい体できっと沢山のものを背負っているのね

きっと自分から鬼になりたがった訳じゃない

無理矢理されたんだもの

まだ小さいAちゃんでは背負いきれることに限界があるわ

この涙が物語っている

小さな体で私に縋り付いてくる姿は心の悲鳴にも思えた

そう思うと自然と言葉は出てきた

「よしよし、大丈夫。大丈夫だよ」

『ふっ、う……ひっく…』

声を荒らげて泣くことはないけれど絶えず涙を流すAちゃんの背を沢山撫でてあげた

(あぁ…可愛らしいわぁ♡まるで妹が出来たみたい♡)