1 時間 ページ2
〜空介side〜
Aと最後に言葉を交わしたのは4年も前になるのかな…あの植物室で君を見つけた時から、僕らはいつも昼休みになると植物室で会って話をしたり、一緒に歌ったりして2人の時間を共にしてきた…でも、
〜空介小4の頃〜
僕はいつもの様にAが居る植物室に駆け込んだ。
いつもの時間、いつもの場所だけど、その日は１つだけいつもと違う事があったんだ…
空介:Aー！今日は何して遊ぶ？歌？話す？それともグラウンドでサッ…。
いつもいるはずの君は今日はそこに居なかった。
珍しくお休みしたのかと思ってその日は1人で過ごしたが、その次の日も、またその次の日も、彼女の姿を見ることはなかった。
空介:A…どうしたんだよ…。
藤竹桃七:Aは転校したよ、知らないの？
空介:え…？Aが転校？嘘…でしょ？だってAはそんな事一言も…。
藤竹:もしかして、空介君って君？Aがいつも嬉しそうに話してるから名前は知ってたよ。
誰にでも優しくていつもにこにこしてるけど君の話をしてる時は特に、笑顔で本当に大事な人なんだなって伝わってきた。 君が羨ましかったな
藤竹: …。って居ないし！
嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ！！
なんで…
空介:なんで黙って行っちゃったんだよ…A
僕は無意識に、もうすっかり通い慣れた植物室に逃げる様にして入り込んだ。
時間が過ぎるのを忘れて、次の授業にも行く気になれずに、ただひたすらに泣いて、泣きまくった。
カサッ 羽のように落ちてきたその紙には…
「 空介君へ」と書かれた手紙だった。
「空介君へ
見つかって欲しいんだけど見つかって欲しくない
から私の一番好きなお花の鉢植えに挟めておきま
す。読んでるってことは見つかったんだよね？
私は明日少し遠い場所に引っ越す事が決まりまし
た。何年か後にまた戻ってくるらしいんだけど
いつになるかわからないや、でも、もしも空介君
が私を覚えててくれるのならもう一度会いたいで
す！ 面と向かって言えれば良かったんだけど、
目を見て話すと泣いちゃいそうだから手紙にしま
した。 貴方の私を見た最後の記憶が少しでも笑顔
であって欲しかったから。
私は空介を忘れない、絶対忘れないから…空介君
も忘れないでほしい。
だから…またね！
Aより 」
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作者名：松野 月 | 作成日時：2017年7月11日 0時
