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「あっれ～Aちゃん達やん」

スイパラに向かう駅前の道、
聞き覚えのある声がして振り向く。

「うわっ今日ストーカーしてるでしょ！」

「いや、さっきのは俺らが前やったし！」

小瀧くん、重岡くんに流星くん。
サッカー部も、休みらしい。

「どっか行くん？」
「遊ぼや！」

「今日はAの好きなスイパラ行くからダメですー」

キコちゃんに肩をトン、と叩かれる。

「えー、俺らもスイーツ好きなん知ってたやろキコちゃん」

「は？！」

流星くんはカエちゃんの横に並んだ。

「さ、行こう」
「え、小瀧お前焼き肉ちゃうかったん？」

重岡くんだけ取り残されてる感。

「いや、ごめんなしげー1人で行って」
「アホか。」

重岡くんも小瀧くんの横に来た。

「さ、食べるぞ～」

なぜだかスイパラに行ってくれるらしい。

「うわ、ほんま女子とスイパラとか初めてやねんけど…」
「…え？」

重岡くんがスイパラの入り口で小声で言ってたから笑っちゃう。

「おい、なんやねん松岡。」
「いや重岡くん…意外と慣れてないんだなぁって、」

って言えば、大きな口を手で隠してはにかむ。

「こう見えて俺片思いしかしたことないねん。」

重岡くんは1年の頃から有名人だったけど
確かに浮いた話はあんまり耳にしなかった。

「…元気？」

突然優しい顔してそんなこと言うから、
少し驚いた。
彼女でもない私なんかにも、こんな顔もするんだって。

「重岡くんって…優しいね。」
「いや、それは初めて言われましたわ」

ガハハって今度は大きな口開けて笑う。
重岡くんって、
変な人。

「なぁなぁ、Aちゃんって彼氏おる？」
「…え」

スイーツ取りに並んでると、横に立った流星くん。
意外と2人で話したこと少ない。

「あー…」

これは言うべき？

「おっい流星！」

パコッと音とともに流星くんのフワフワの髪の毛が軽く揺れる。

「んえ、望なに。」
「お前デリカシーないなぁ！あ、」

小瀧くんが横に立って、口を押さえる。

「ふふ、別に大丈夫だよ。
ちょっと前まではいたけど、今はもう別れた。」

小瀧くんも申し訳なさそうな顔してて、優しいんだなって。
みんな良い人だと思う。

「じゃ、俺達と今年はいっぱい遊んでな」
「…え」

流星くんは得意気に笑う。

「そ、そうやっ！いっぱい思い出つくろ」

小瀧くんも乗っかって笑ってる。
いいことがこんなに早く起こるなんて。