【H×H】神々の花嫁と蜘蛛の糸

糸、13本 ページ15

「俺は！旅団四天王マジタニ！！今まで十九人殺したがよォ、キリが悪くてイライラしてたんだ！記念すべき二十人目は嬢ちゃんだぜェ？光栄に思えよ！！」


ゲラゲラと響く笑いが鼓膜にこびり付く。
旅団四天王？十九人殺し？笑わせる。


崇高な幻影旅団を下賎な輩の肩書きとするか。



＿＿＿＿赦せない。



考えより先にAの体は動いていた。
隠し持っていたナイフをマジタニに向けて投げた。
マジタニは避けることも出来ず、頬を掠めただけで怯え、へなりへなりと座り込んだ。


「あら、どうしたのです幻影旅団様。」

コツン、コツンとブーツのヒールを鳴らし一歩一歩しっかりと近づく。

「 幻影旅団様が、『ただの』ナイフに怯えるなんて。」

「まっ、まってくれ！！や、やっぱり武器は＿＿＿＿！！！」

｢ 笑 止 ｣


両手に四本ずつスローイングナイフを持ち、目前で足を止める。
怯えきったその顔を見てもAは赦す気など毛頭ない。

八本のナイフでマジタニを床に磔にし、自身の能力である薙刀を具現化した。

すると、思い出したかのようにAが口を開いた。

「ああ、そうです。死に行く貴方に教えましょう。冥土の土産と云うものです。


ひとつ、幻影旅団のタトゥーには団員のナンバーが彫られています。


ふたつ、あの方々は殺した人数を一々数えはしません。


みっつ、あの方々を侮辱するのなら、それ相応の罰が下ると思いなさい。」



「さて…貴方の罪、一体幾つあるのでしょうか。」


＿＿＿＿＿＿＿＿＿『断罪の刃(ジャッジメント)』



叫びは虚にかき消され、マジタニの肉体は見るも無残に解体された。
その数を数えたいと言う者は、きっと何処を探しても居ないだろう。

「…狂言も大概にしていたら、私も多少の加減は致しましたのに。」

多量の血がついた薙刀を消し、パンパンとAが手を叩くと、マジタニの死体の真下から暗闇へと繋がる穴＿＿『混乱ノ渇望(バベルズディザスター)』が現れた。

その穴からうぞうぞと伸びる多数の手はバラバラになった肉片を住処である暗闇に持ち帰った。

完全に穴が消えると、Aは残りの囚人に向かい軽く頭を下げ踵を返してゴン達が待機する廊下へ戻って行った。


コツン、コツンと響いた音は、この空間にいる者をぞわりと背筋を凍らせた。

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