【鬼灯の冷徹】鬼灯様の神隠し

捌 ページ9

＿＿＿いいな、いいな、人間っていいな……

「……でんでん、でんぐり返って…」
「「バイバイバイッッ!!!!!!!!」」

翌日、鬼灯は非番であった。
昼までAと寝ていようと、昨日はあまりしない夜更かしまでしてぐっすりと眠っていたのだ。
……しかしその計画も綺麗に壊された。

「イヤアア蹴らないでェ!!!!!!!!」
「…何も動物相手に蹴りませんよ……」

桃太郎の仲間達によって。

完全に目が覚めてしまった鬼灯はふと、隣で眠っているAを見やった。
よかった、まだ寝ている。
幸せそうにすやすやと寝息を立てる幼い寝顔にそっと微笑んだ。

「エッ、鬼灯様の子供？！」

猿、柿助が驚きの声をあげる。釣られて雉、ルリオと犬、シロがまた驚く。
その声にAはうすらと目を開いた。

「違いますよ、保護しているのです。」

おはようございます、とAに声をかけるとAは嬉しそうに身体を起こして花が咲くように笑った。

「おにいさん、おはよう……わあ、移動動物園？かわいい、ももたろうのお供だ！」

シロの頭を小さな手で撫でるとシロは嬉しそうにワンと一つ鳴いた。
「鬼灯様、この子亡者じゃないですよね？」
「はい、しっかり生きている人間です。」
「鳥が、しゃべった……？」

撫でる手を止め、ルリオを見るその目は驚きに溢れていた。そして柿助もシロも喋れると声を上げた。

「すごーい！ねえ、ももたろうは？いないの？」

本物だ！と喜ぶAに三匹は少しの満足感を得た。しかしAは桃太郎に会いたいと言う。

「桃太郎は天国で働いてるんだ、今度会わせてあげるよ！」
「それで、皆さんは何か用ですか？」
「いえ、大事な用は特に……非番だったら仕事のアドバイス等頂けたらと…」

怯えきったシロの言葉にルリオはうんうんと頷く。
鬼灯はそれに渋い顔をした。

「……徹夜明けの爆睡は無理に起こされると結構辛いんですよ………勘弁してください。」

完璧に目が覚めてしまった鬼灯はゆっくりとだが朝の準備を整え、Aもきちんと着替えさせた。
満面の笑みで喜ぶ彼女の頭を撫で、歯磨きなどするよう促すと軽い足取りで洗面所へと向かった。

「……ところで、私の部屋に入る許可は誰が？」
「あ、閻魔様がいいよって。」


＿＿＿＿


「ンッ？！今とんでもない殺意が飛ばされた気がするゥ……！！」

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