弐拾弐 ページ23
二週間とは楽しみがあれば一瞬で過ぎ去るものだった。
賽の河原へ鬼灯がAを迎えに行くと、川辺で一人ジェンガを積んでいた。
獄卒さえ今日という日は休みなのに、彼女は日課を欠かすことなくこなしている。
｢Aさん。｣
｢ほおずきさま！こんにちは！｣
Aはすぐさま立ち上がり、鬼灯に駆け寄ると目線を合わせた鬼灯に頭を撫でられる。なぜ撫でられているのかは分からないが、Aは鬼灯に撫でられるのが好きなのでされるがままだ。
「祭りはまだですが、ちょっと出掛けましょう。」
＿＿＿＿
「あらァ、あなたがAちゃん？可愛いわァ〜！」
Aを連れ、やってきたのは衆合地獄。
共に祭りを巡ることをお香に話せば、是非浴衣を！と声を上げ今に至るのだ。
初めて会うお香にAは戸惑ったが、お香の柔らかな物腰にいとも簡単に心を開いた。
「…私は女児の好みなど全く分かりませんので、お香さんにお願いしました。」
私はあちらにいますのでごゆっくり、と鬼灯は気を遣いその場を後にした。
＿＿＿＿｢それじゃあ、Aちゃん。この中に好きなものはあるかしら？｣
鬼灯の背中を寂しそうに見詰めるAにお香は目線を合わせながらそう問うた。
せっかくの浴衣だ、好きなものを選ばせるのは当然だろう。着せ替え人形のようにしてしまうと彼女も疲れてしまう。
｢わ……たくさん……｣
Aは暫し頭を悩ませた。
涼し気な青い紫陽花、背伸びした黒の麻の葉柄、鮮やかな赤い椿……見たことの無い麗しいそれぞれが全て鮮やかに映る。
｢＿＿＿＿これ……これがすき。｣
……その中で、最もAの目を引くものが一番鮮明に映った。
｢あらあら、ふふ。じゃあ、それにしましょうか！｣
お香と手を繋ぎ、鬼灯が待つ甘味処へ急ぐ。
鬼灯はどんな反応をしてくれるか、お香は楽しみで仕方がなかった。
…浴衣を着せたあと、Aの背中まで伸びた髪をまとめあげ、ちょっとした髪飾りを付けた。結果は……
｢＿＿＿＿。｣
……完璧である。
見事に固まった鬼灯を見て、お香はしてやったり！と喜んでいたのは……ここだけの話である。
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雪寝子(プロフ) - ボンクラMONKEYさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！ゆっくりとした更新ですがどうぞ今後ともお付き合いくださいませ！ (2023年3月7日 19時) (
レス) @page26 id: 8c56c9b648 (このIDを非表示/違反報告)
ボンクラMONKEY(プロフ) - めちゃ好きです。この作品に出逢えて良かったです。ありがとうございます。 (2023年3月1日 20時) (レス) @page25 id: 402691cbe4 (このIDを非表示/違反報告)
雪寝子(プロフ) - noche/ノーチェさん» 数ある作品の中から見つけて下さって本当にありがとうございます！評価まで頂き…本当に嬉しい限りです！のんびり書いておりますが、どうぞお付き合い下さい。本当にありがとうございます！ (2022年9月26日 22時) (レス) id: 8c56c9b648 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - この作品を気づくのが遅くなってしまったことがとても悔しいです。評価を失礼ながら100票目を頂きました。もちろん1番右です！遅いかもしれませんが無理をしない程度に更新を頑張ってください。失礼しました (2022年9月26日 0時) (レス) @page22 id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
雪寝子(プロフ) - 暇人(笑)さん» わああ、ありがとうございます！とても励みになります……！更新頑張ります！ (2020年9月3日 11時) (レス) id: 6c23cea859 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪寝子 | 作成日時：2020年8月2日 17時
