解せぬ……57 ページ29
貴方side
月島くんがケーキを食べたのを見て、私も食べようと持ってきたショートケーキを頬張る。
『……ぇ、美味し……、うま……』
頬張った途端、私の口からはそんな言葉が漏れてきた。
程よい甘さのイチゴと、それを邪魔しないよう甘さ控えめになっている生クリームの相性が驚くほど合っている。
口を手で覆い、"美味しい"と連呼する私を見た月島くんはこちらを見て
「っくく、何回それ言うの」
と笑いながら言った。
(……あ、月島くん笑ったの初めて見たかも)
笑うと少し幼く見えるなあ、なんて考えていると、月島くんは"……何?"といつもの顔に戻る。
『ううん、月島くん笑うとかっこいいなって』
「……ばかじゃないの」
私が誤魔化すように微笑んで月島くんを褒めると、彼は照れたようにそっぽを向いた。
ーーー
「またのご来店、お待ちしております」
『美味しかったー!』
「うん、悪くなかった」
店員さんのその言葉を背中に、二人大満足で店を出て帰路につく。
月島くんも美味しいと喜んでくれたので、今回のお返しは成功というとこだろう。
「……誘ってくれてありがとう」
『こちらこそ、助けてくれてありがとうね、月島くん』
彼からお礼を言われ、私も彼に助けてくれてありがとうと感謝を述べる。
月島くんと呼ぶと、彼は少し目を伏せて
「……呼び方、月島じゃなくて蛍でもいいけど」
と言った。
『……へ?』
「だって僕ら、友達……、いや、何でもない!」
『えぇ〜! 待ってよ、蛍くん!』
顔を真っ赤にして私を置いて早歩きで先を行く月島くん……いや、蛍くん。
友達と思ってくれている事を再確認した私は、顔を綻ばせたまま彼を追いかけた。
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冬景色(プロフ) - かめそんさん» 初めまして。応援コメントありがとうございます!お褒めに預かりとても嬉しく思います。これからも精進いたします! (2020年5月12日 7時) (レス) id: e83ba022d2 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - 初コメ失礼します。とても面白くて続きが気になります!更新頑張って下さい!! (2020年5月12日 4時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬景色 | 作成日時:2020年5月9日 8時