on the side(橙)

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コーヒー飲み終わってお気に入りの猫の動画4本見たところで
カウンターの向こう、ガラス越しに手を振る大好きなエクボの彼。

店内のみなさーん！
この人！私の！彼氏なんでーす！カッコイイでしょーーー！？

ってコーヒーショップの真ん中で愛を叫びたいくらい。
あの夜からおよそ2週間、一番楽しいとき。


なんだか両手に紙袋とか資材とかPCとかたくさん抱えた彼に続いて彼の部屋へ。



手を洗って彼の部屋に置いてあるスウェットのワンピースに着替えて
ソファに体を沈めてひと息ついていると
着替え終わった丸山さんが、
ニコニコしながら小さな箱を手渡してきた。


「これ！ここのんめっちゃ美味しいんやでー！」


そう言ってジャジャーン、と開けた箱の中には
チョコレートに包まれたドライフルーツ。


「一緒に食べよ？」


って




なんで？




どうしたのそれ。




「今日卸さんと同行やってんけど、その子から貰っ………」


へらりと嬉しそうな顔は私の投げつけた別珍のクッションで見えなくなった。


「いたっ！危ないやん、何すんの」


やっぱり！
あの紙袋全部
中はチョコレート。


「帰る。」
「え？なんで！」
「ヤダもう帰る。用事終わったし」


くそー、なんで着替えちゃったんだ私。
啖呵切ったあと、もそもそ着替えるとかカッコつかない。間抜けすぎる。


丸山さんは何がなんだかわからないって顔して


「帰らんといて？」


なんて可愛い声で言うから後ろ髪を引かれなくもないけど


でも！


私のトートバッグの中に潜ませた手作りチョコのことを考えたら
やっぱりなんだか腹が立って
元通りのオフィスカジュアルにダウンコートを羽織ったら
バッグの中の小さな箱をどん！とキッチンカウンターに叩きつけるように置いて


「じゃ、失礼しまーす、お疲れ様でした！」


ってオフィスを出るときのように彼の部屋を出た。






なんだよ！追いかけてこないのかよー！
バカバカバカ！






てなことがあったのだ。

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