Shopaholic ~ T．Masuda ~ Vol. 5 (ページ29)

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増田 side

車を走らせてしばらく、

彼女が昨日連れてきてくれた海岸へ到着した。

もしここに彼女がいるなら、きっと電車できたのだろう。

ほかに車はない。

増「どこだよ…」

海岸を見渡しながら必死に彼女の姿をさがす。

ここにいなかったら、ほかにあてがない。

増「…くそっ…」

暗くなっていく空にそんなことを呟いたとき、

とある後ろ姿をみつけた。

愛おしい背中を。

増「…！A！」

あ「！」

驚いて振り返って固まる彼女のもとへ一目散に駆け寄った。

増「A…」

あ「貴くん…靴に砂入っちゃうよ」

彼女は目線を俺の靴に落とした。

増「そんなのどうでもいいし、どうでもよかった…」

Aは顔を背けたままだった。

増「なんでいなくなったの…？びっくりしたよ…」

あ「頭冷やそうと思って」

少し怒ったような、悲しそうな声で彼女は言った。

増「ごめんねA…」

あ「怒ってないよ？」

増「じゃあ…悲しんでる」

彼女の頬へと手を伸ばして

そっと撫でた。

うるうるとした瞳で目線を落としていた彼女がゆっくり話はじめた。

あ「もっと貴くんと地元で楽しい思い出作りたかったから…」

きっと。ずっとそうだった。

Aはただただ楽しくしたかった。

俺と。

増「楽しいこととか、参加しなくてごめん。

Aにとって地元が大事なら、俺にも大事だ。

そっちじゃなくて、靴汚くなるとかばっか気にしてごめん。」

あ「ううん…」

ふるふると首をふる彼女。

増「まだ遅くない？」

そう問うとやっと彼女が俺に顔をむけた。