280話 予言者の瞳 ページ32
＊
雲がかかっていた月が顔を出したと同時に、月光が差し込む。
一星は声のする方に視線を落とす。
一星「A…さん…」
一星の瞳の中には、キョトンとした表情でダンゴムシのように丸まった怜奈の姿があった。
A「宝物にすると言っといて、随分と扱いが雑じゃないかな？」
燃え盛る炎をじっと見つめながら、怜奈はしゃがみ込んだ状態で頬杖をつく。
A「それとも、もう猫被りは疲れた？」
コテンと首をかしげると、一星はとぼけたような表情を浮かべる。
一星「僕はそんな…」
しかし、足元には紛れも無い円堂が渡したタオル。
メラメラと勢いを増し、タオルは徐々に真っ黒になっていく。
一星は、手に持っていたライターを地面に落としてしまった。
A「猫かぶって、真っ黒で薄汚れた人間はさ…。
私がアレスプログラムを受けていた時に、嫌というほど見てきたから。
…だから、嫌でも分かる」
悲しそうに目を伏せながら発した言葉。
本当はこんな能力なんていらない。
そう訴えかけているように思える。
怜奈はゆっくり立ち上がると、一星が落としたライターを拾う。
A「例えば、初日でスポーツセンター前のバスから降りて明日人達に自己紹介した時…」
『 ただ僕は、まだまだ修行中の身ですが、海外経験をかられて選ばれたみたいですね 』
A「そして、韓国戦では…」
『 豪炎寺さん、俺の肩に掴まってください 』
A「仮に猫をかぶって演技しているのなら、一人称を変えるのを忘れていると思わない？
完全に演じきれてない証拠でしょ？」
一星「……」
怜奈の推理に一星は固まる。
彼女の今の表情は、穏やかでありつつも瞳には迷いのない力を感じる。
その表情は、怜奈が試合中で見せる集中力そのものだった。
A「ごめんね。
つまらない探偵ごっこだと思って聞き流してよ」
そう言いながら苦笑すると、怜奈はその場から立ち去ろうとした。
その直後、一星は怜奈の手を引っ張る。
一星「まだ、話は終わってません」
耳元でそっと囁かれると、そのまま近くにあった小屋の壁に押し付けられた。
そのはずみで、怜奈の手に収まっていたライターがするりと抜け地面に落ちた。
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れいな(プロフ) - 空木さん» ありがとうございます^_^これからもたくさん更新して皆さまに喜んでいただけるような作品を作っていきたいと思います。空木さんも、どうぞ応援よろしくお願いします^_^ (2018年11月11日 21時) (
レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
空木(プロフ) - 楽しく読ませて頂いています！これからも更新頑張ってください(´∀｀) (2018年11月11日 18時) (レス) id: b6e943139e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - mikakokapoohsanさん» 人によると思います多分。人の性格や好みは何通りもあるといいますし、結果的に人によりますね^_^多分。 (2018年11月10日 15時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
れいな(プロフ) - 楓さん» あー、そういえばそんなのがあると言っていましたね。検討してみたいと思います^_^ (2018年11月10日 15時) (レス) id: 671d3c390e (このIDを非表示/違反報告)
mikakokapoohsan(プロフ) - 玲奈て可愛いですか？ (2018年11月10日 13時) (レス) id: 4fa9e9ab53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいな | 作成日時：2018年10月24日 21時
