初めての恋を貴方に捧ぐ

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『んっ…』



気がつけばもう何時間も寝てしまっていたみたいで
窓から差し込む光はオレンジ色



『スマホ…』



何気なしに切ってしまったスマホに電源を入れればそれと同時にバグったように通知が鳴る



9割は波瑠から。


親友にはバレたみたいで「バカ」や「生きて」とか。


死んでないわ。(笑)なんてツッコミながらもスマホを上下にスライドする



阿部： どうしたの？


一件だけ来てた亮平からの通知。

その一文だけで嬉しくなる自分がいる。


心配してくれてる。


単純な自分の気持ちに気づけば気づくほど今度は胸が苦しくなった



A: 体調が悪くて。でも今は平気


そう送ればいつも遅いくせに今日は一段と早くつく既読


阿部：家、行っていい？


『えっ…？』



思わず声が出る


なんで。彼女いるじゃん。


そんな優しさ。彼女にしか見せないでよ。




そう思う反面





亮平を独り占めできる。なんて気持ちも芽生える



本当なら彼女さんのことを想って断るべきなんだけど





今日だけ…いいよね



幼馴染なんだし


第一言ってきたのは亮平だし。




A: いいよ。



阿部：なんかいるものある？



A：ううん、大丈夫



阿部：わかった




やりとりを終えさらに高鳴る胸を必死に抑え部屋を綺麗にする



最初から素直になってたらこんなことなってなかったのにな

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