16.家族 ページ19
〜Aside〜
今からお母さんに言いに行く。
今までは何となく想像できた。
でもこれだけは子供として言って欲しかった。
"もう少し一緒に暮らそう"と…
母「あ、いいよ。どーぞ連れていってください。私たちにはいらない子なので。」
どうしてこうも上手くいかない人生なんだ。
壱「あんたそれでもAを引き取った身か。」
母「まぁ、雑用には役に立ったよ」
壱「Aいくよ。荷物まとめてきな。」
部屋に行って今まで集めてきた服、アクセサリー、靴、鞄、漫画、グッズ、DVD。
のちのち取りに来るとしてとりあえず今必要なもの、近くに置いておきたいもの。
それをスーツケースに片っ端から詰め込んだ。
『お母さん。今までありがとございました。』
最後に感謝を伝えてこの家を出た。
12年間。お世話になりました。
家に向かって深々と頭を下げた。
壱「後悔…してないか？」
『してない。と思います。』
『でもこの家を出たかったのはほんと。』
壱「明日にでも役所行くか。」
『うん。』
どういう手続をするのか分からない。
でも、叶うのなら。大好きな家族の名前がいい。
川村ではなく村川で。
壱「あ、あと翔平と玲於さん覚えてるか？」
『え、うん』
壱「会いたいって言ってたからその2人だけでも会ってくれないか？」
『うん。うちも会いたい。大好きだもん。』
『あ、あとたかくんと大樹くんとそたお』
壱「そたおって、中島颯太？」
『うん』
壱「え、知り合いなん。」
『大阪時代良く遊んでた』
そたおの妹ちゃんと通ってる水泳クラブが一緒で
よく一緒に遊んでもらって仲が良かった。
・
・
・
そこからかずにぃのマネさんに運転してもらってかずにぃの家まで行った。
壱「ここだよ。母さんも父さんもいるで。」
受け入れてくれるかな。
辛気臭い顔をしていたのに気づかれたのか。
壱「大丈夫。会うの楽しみにしてるから」
『うん』
ｶﾞﾁｬ
壱「ただい…」
ﾊﾞﾀﾝｯ
壱母「A！？！？」ｷﾞｭｯ
『さー…ちゃん。』
壱父「Aおかえり。こんなに大きくなって」
おかえり。久しぶりのこの感覚。
あぁ。家族ってこんな温かいものなのか。
『ｯ……涙』
『ただいま。』
壱母父「おかえり。」ﾆｺｯ
『会いたかったっっっ涙』
壱「そんな泣いたら明日目腫れんで？」
『ゔぅ…涙』
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作者名：ゆあらむ | 作成日時：2021年8月25日 6時
