茶-幼馴染 ページ4
テスト期間、いつもと同じマック。
教科書を広げるだけ広げて全く手を付けていないAは、僕の買ったポテトを我が物顔で食べている。
そんなAの携帯が鳴る。
「そういえば私彼氏出来た！」
その彼氏とやらからメールが来たのだろう。
嬉しそうに画面を眺めて一生懸命文字を打っている。
「物好きな人もいるんだね」
そっけなく返事をして目線を手元に戻す。
「そういうこというから彼女に振られるんでしょ」
誰のせいで振られてると思ってんだ。
「うるさ」
僕はずっとAが好きだ。
いわゆる幼馴染ってやつで気付いたら好きになっていた。
だけどAはご覧の通り僕に興味はなくて、他所で彼氏を作ってしまうのだ。
だから僕も告白してきてくれた女の子と付き合ってみるのだ。
まぁ結局別れるんだけどね。
「彼氏ってAのクラスのバスケ部の人でしょ？」
一瞬驚いた顔をしてすぎにまた幸せそうな顔に戻る。
「やっぱたいきにわかっちゃうか〜。」
違うよ、Aが分かりやすいだけ。
ほんと昔からあぁいう人好きだよね。
かっこいい顔ですらっと背が高くて爽やかな感じの人。
ブサイクでチビで性格の悪いお前なんか眼中にないよって言われてるみたい。
なのに諦められない僕は相当な物好きだ。
「あ。でも誰にも言わないでね」
「言わんけどなんで？」
好きな女取られたことなんて誰にも言いたくないわ阿呆。
「２人だけの内緒にしようねって約束したから」
「僕に言っていいの？」
「いいよ、たいきは口硬いもん」
にっこり笑って携帯を置いてパクリとポテトを食べる。
はぁ……なんだよそれ。
いいの？僕のこと信用して。
別れて欲しくて言っちゃうかもよ？
なんて心の中で悪態をついてみるけど、どうせそんなこと出来ないっていうのは自分が一番分かってる。
Aの傷つく顔は見たくない。
Aが幸せなら僕はそれでいい。
テストが終わってAと過ごす時間が少なくなってから数日後の夜Aから電話がきた。
跳ねた心臓を落ち着かせて電話をとる。
｢もしもし？｣
｢たいき、今からうち来れる？｣
声が震えていた。
｢急いで行く、待ってて｣
｢うん｣
電話を切って自転車に跨る。
僕とAの家は最寄り駅は同じなのに駅から真逆の方向にあってちょっと遠い。
ちくしょう。引越しなんかしたせいだ。
かいた汗も気にせずに一心不乱で自転車を漕ぐ。
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ふつれ(プロフ) - ユキさん» 感想ありがとうございます。とても嬉しいです！投稿頻度は低めですがこれからも頑張ります！ (2021年1月12日 17時) (
レス) id: 789c1d0aac (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして、コメントさせていただきます。虫さんの視点から描かれる繊細な描写が素敵で思わず切ない気持ちに刺せられました…。素晴らしい作品をご投稿してくださり本当にありがとうございます！ (2021年1月10日 16時) (レス) id: 9dd2a40747 (このIDを非表示/違反報告)
ふつれ(プロフ) - ぽんさん» ごしてきありがとうございます。確認不足でした。すみません。もう一度読み直してきます。 (2021年1月8日 8時) (レス) id: 789c1d0aac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふつれ | 作成日時：2021年1月7日 22時
