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なんとなく募る気まずさに
サンドウィッチを押し込むと









シャキリ、と急に響くのは









やけに元気な


レタスの音









……なんでまたこのタイミングで








バレないようにと願ったそばから
隣でこぼれる笑い声









「んっふふ、んふ……ふはっ」


「…………」


「…っは、んふ。ふふっ……ふっ、」


「……そんなに笑わなくても」








なんともないようなフリをしながら
口では呆れてみせるけど


素直な熱はすぐに集まり
あっさりと頬を火照らせて








そんな私を知ってか知らずか

未だに楽しげな平野くんは







「んはっ、ふ…んふっ」







丸めた背中をフルフル揺らし

パタパタと足を騒がせる








恥ずかしさを流し込んだ紅茶は
少しだけ渋みを残して







「あれ、拗ねちゃった?」



「拗ねてません」



「あ、敬語」



「……拗ねてない」







よく出来ました〜、と茶化してくるから

何か言おうと見上げれば







「ん?」







頬をめいいっぱい膨らませ

懸命に動き出した顎







「……平野くん、リスみたい」







思わず口をついて出た言葉に
またそのほっぺが膨らんで


ゴクリと喉を上下させたら
突き出した唇が動く







「しょう」


「え?」


「紫耀って呼ばれる方が好き」








あぁ、ほら


まただ







急に近づいて詰まる距離








ハラリ睫毛にかかった髪の
隙間から瞳を覗かせて


その口の端を上げるから








飲み込んだ息が喉に詰まって

泳ぐ目線は落っこちる









こっそりと深く吸い込んだ息に
気づいているのかいないのか



パクリ小さく口に含むと
背もたれに体を預けて








「なんかさ、”平野くん”って遠いやんか」


「……そう?」


「うん。遠い」








うんうん、とひとり頷きながら
右手のサンドウィッチに噛みつくと


あっというまにペロリ平らげ





ちょっと迷うそぶりをみせたあとで
またお皿へと手を伸ばした

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ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます!ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです! (2017年9月21日 23時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります!! (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます!最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです! (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふとん | 作成日時:2016年12月18日 21時

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