明日も君と、恋をしよう

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さっきとおんなじ席に通され
今度は3人で座って



「掛け持ち？」

「いやぁー……、どうだろ」



ため息に顔を突き合わす




ストローでぐるり混ぜた氷は
まだ溶けずに1周するだけで

大して乾きもしない唇に
流し込む薄いアイスティー




「ラーメンの次はパン屋かぁ」

「そのまえはカフェだよね？」




志保さんが飛ばした視線に
引き戻る思考が頷いて




「1日だけ、でしたけど」

「だよねぇ。ってことはさ、明日はやっぱりいないよね」

「いねぇって、あのパン屋に？」

「そうそう」





確証があるわけじゃないけれど






「たしかに、」






なんとなく、そんな気はする








きっと


明日はもういない








「あー、うん。そうだな。同感」

「うん。優太はわかってないね」

「はっ！？」





クスリ肩をすくめた志保さんに


手をグルリ回しながら
わかりやすく目は斜め上




おー、なんか頑張ってる





あ！、と背を浮かせた岸くんに
ん？、と志保さんの目が向いて





「バイトもさ、電話とおんなじだったりする？」

「同じって？」




だからさ、と声を切る岸くんは
ついた肘で身を乗り出すと




「おんなじ番号からの電話がダメで。
で、おんなじトコのバイトもダメ……みたいな」




ゴクリ一気にコーラを飲む




「だとしたら、毎日バイト変えてるってこと？」

「そうそう」

「なんでそんなこと」

「そりゃあ！……、さ。分かんねぇけど」






電話に、バイトに、
それからお金も


今日だけのものなんかじゃないのに






なんで

手放しちゃうんだろう






「えー？なんで、ってもなぁ」







明日に繋がるはずのものを




全部

切り捨てているとしたら







その理由は、どこにあるのか









「あれじゃね？今日の分しか記憶がもたない、とか」









突き出された岸くんの声


左右に動いて混ざる視線は
声を引き上げることもできずに









辺りを行き交う足音と


重なり合うお皿の音と


楽しげに手を叩く音と









騒めきだけに

揺れる耳







「え、まって、ごめん冗談」







頼むからそんな引くなって！、と

岸くんは目を彷徨わせて







「優太、」







抜け出て応える志保さんの声に

ようやく薄く飲み込む息






「それ、さ」






そんなことがあるのかどうか

それは、まだ分からないけど







「ないって言える？」







ありえないと言い切ることは




きっと

今に似合ってない

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