明日も君と、恋をしよう

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まさかメロンパンだけ食べて
お店を出るわけにもいかず



「いやぁ、やっぱ決めらんねぇわ」



トレーを片手に周る視界は
どれもこれも、目移りさせる





レジへ収まる紫耀くんを横目に
頭をちゃんとパンで埋めて

トングを片手に深呼吸






パン屋さんも久々だしな

とりあえずはクロワッサンと、
あとは何を買っていこうか




「あ、Aちゃんもクロワッサン？」

「志保さんのオススメなら、絶対間違いないですから」

「えぇ！それはちょっとプレッシャーが、」





志保さんが1歩身を引いた隙に
トレーへメロンパンが乗って




「ちょっと」

「大丈夫、俺払うから！」

「そういう問題じゃないでしょ、」





呆れ顔でぼやかれたトレーには
大きなメロンパンが３つ

その志保さんの視線の先では





「優太くーん？」

「ダメ？」





大きな手に握られたトングが
チョココロネにまで伸びている







あぁ、どうしようかな

２つか３つは買いたいけど
やっぱりなかなか決まらない






メロンパンも美味しかったし
白あんぱんも良さそうだし


いや、やっぱ塩パンもいいな





「それ、おいしいみたいですよ」





降る声に視線を向ければ





「じょーれんさんが言ってました」





すぐ隣へと迫った肩





「常連さん、」

「そそ、じょーれんさん。まぁ俺は食べたことないんですけどね」

「ないんですか？」

「ないんです」





つい閉め忘れた口を見て
ははっ、とチラリ歯を覗かせるから

幼い瞳に揺らされて





「僕ね、新人さんなんですよ。やからあんまり食べてなくて」





言ってしまえと騒ぐ喉






「あの、」

「ん？」






かしげる首で近づくその眼に
どくりと鼓動を奪われて

怯みかける呼吸を止める









もう、会えないかもしれない

電話も、できないかもしれない







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ここで聞かなきゃ

どうするの






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「カフェで働いたこと、ありますか」

「えー、どうやったかな」

「じゃあ。ラーメン屋さんで働いたことありますか」

「うーん、どうやろ」






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ほら。こうやって濁すから





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私には

今しかないんだ






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「明日も、ここにいますか」







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押し合う眼に任せて数秒
ごくり動く喉が痛くて



ふふ、と零した口元は








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「そんなに俺のこと気になる？」







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ふわり三日月を形取った

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