明日も君と、恋をしよう

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あれ、もしかして

なんて






”公衆電話 時間 100円”





打ち込んだ文字の検索結果に
動く指と漏れるため息


10円で約15秒なんて、想像以上に短くて





……100円でせいぜい2、3分？





もうちょっと長いと思ってた




ほんの少し交わしただけの
その言葉を思い返して


忘れないようになぞって








今さら

また速くなる鼓動に




大きくひとつ

深呼吸








…………笑ってた








笑って、



拗ねて、



また笑って







何ひとつ変わらないままに

紫耀くんは、紫耀くんだった







てか、金髪って



晴れるたびに染めてるの？





……それはないか


だって前は茶髪だったし
あの時もたぶん晴れてたし

少なくとも、雨じゃなかった




たしかに今日の昼間なんか
ものすごい陽射しだったけど

特別か、って聞かれたとしても
頷くほどではないと思う




じゃあなんだ？気まぐれ？


もし明日、雨なんか降ったら
青にでもするんだろうか


もしや今日のも何かの主義？









……ダメだ、限界





ただでさえ分かんないことばかりで
頭を抱えてるっていうのに


せっかく話せたのはいいけれど
むしろ、分からないことが増えてる









でも声を聴けたのは大きい




しかも



紫耀くんのあの声から
好き、って言葉まで盗み出して






.






狙ったわけではないけれど

運がよかっただけだけど







.









それだけでもう

大勝利









.









あ、魚食べるの上手なんだっけ

それに器用だって言ってな




最初に紫耀くんに会った時の
あの手元を思い描けば

たしかに器用だとは思う








まあ、知れたのはほんのちょっと








とりあえず、

また話すことができるかどうかは
明日にならなきゃ分からない





明日もまた電話をかけて

それでも出てくれたとしたら





そしたら





もう、こっちのもんだ









中途半端に開けられたままの
バッグのチャックを引っ張って

ぬるい空気から抜け出せば





見上げた空の隅っこから

月が半分顔を出した

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