1 ページ1
.
週の真ん中、水曜日
怠さと眠気を瞼にのせて
食堂で空きコマを消化
沙織が彼氏とケンカしたとか
舞美の髪色がいいとか
集まった数人の間で
話題を転がし暇を潰す
相づち代わりに流れる言葉に
大した意味なんてないけど
でも、ほら
時間を無駄に遣うのなんて
今しかできないことだろうし
開き直ったもん勝ちだ
左手に収まる抹茶ラテに
刺さるストローを弄りながら
残り2日を乗り切るために
この糖分は不可欠
なんて
さらなる言い訳をグルリかき混ぜ
目の前のお菓子に手を伸ばす
「Aもなんかすれば？バイトとか」
「バイトねー」
「え、Aバイトしてないんだっけ」
どうやら次のターゲットには
私が選ばれたみたいで
「バイトなしでお金足りるの？」
「んー、まぁ。仕送り貰ってるしね」
「いくらいくら？」
「教えませーん」
のらりくらりと声を置く
咥えたおかしをポキリと折って
再び口へ放り込めば
「もーらいっ」
ひょいと現れる大きな手
「うわぁ岸くん取りすぎ」
「へへっ」
その手の主である岸くんに
ちょっぴりブーイングが起こる
それでもちゃっかり席を確保し
手にしたおかしにかぶりつくから
あっさり馴染んでまたパクリ
「いいところにバイト王子が来たね」
「え、なに、俺王子！？」
「いや、バイト小僧かな」
沙織のセリフに声が沸く
バイト先で出逢ったという
彼女さんにゾッコンな岸くんは
2月に迫った記念日に
箱根旅行に行きたいらしく
とにかくバイト三昧で
とりあえずいつも忙しない
そんな岸くんに頼んでみれば
とりあえず日雇いか短期だな、と
得意げに少し顎を逸らして
ああだこうだと唸りながらも
指で画面を行き来する
「お、これよくね？」
「んー？」
岸くんが見つけてくれたのは
カフェの臨時スタッフ募集
時給950円
交通費の支給あり
未経験者歓迎
バイト期間は3日間
申し分なさすぎる好条件
さすがバイト小僧、だなんて
茶化すような声が上がれば
王子じゃダメすか？と訴えて
見事に却下された岸くんは
ガクリ大げさに項垂れる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1504人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふとん(プロフ) - はるかさん» はるかさん、ありがとうございます！ようやく折り返しと言えるところまできました…最後まで頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです！ (2017年9月21日 23時) (
レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - ここにきてこんなに切ない展開ってさすがです…続きがすごく気になります！！ (2017年9月20日 2時) (レス) id: 66715550c8 (このIDを非表示/違反報告)
ふとん(プロフ) - つかささん» つかささん、ありがとうございます！最後まで自分の思い描いた世界を表現できるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。 (2017年8月31日 9時) (レス) id: 1df4f5ed05 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - この作品を読んでいるとすごく不思議な感覚になります。更新楽しみにしてます。 (2017年8月28日 10時) (レス) id: ad87999c23 (このIDを非表示/違反報告)
りこ - 紫耀ちゃんが、いつ出てくるか楽しみです！ (2016年12月19日 8時) (レス) id: a7ce410caa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふとん
| 作成日時：2016年12月18日 21時
