明日も君と、恋をしよう【after】

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「ただいま、」




かかとを浮かせたひと足あとで
後ろ手で引っかけるチェーン







さっきまでがうるさすぎて



なんか

感覚がマヒしてるんだか







パチリ照らすひとりの部屋に
足りなさばっか幅を効かすから

シャワー浴びる気にもなんなくて





降ろす腰に出したスマホで
とりあえず、通話の１歩手前





んー……、どうしよっかな






志保さんとご飯らしいし

のんびり女子会中かもだから
やめといた方がいいのかな




や、でもさ

まだ帰ってなかったらマズくない？







座り込む床にあぐらをかいて
ベッドに背中がもたれれば

悩んだとこで離せないスマホ






や、ムリじゃん

どうせめっちゃ考えたって
結局やめれるはずないし





いつもそうだもん





出なきゃ切ればいいし、なんて
とりあえず掛けてはみるけど









よん、ご、ろく、



なな、




はち、







きゅう、









……ダメだ、終わりが見えない






10回目で切るはずだったのに
まだ離せてない耳元は

懲りずにコール音を受けて






「よし、終わり！」





わざと張り上げて聞かす声で
やっとスマホが耳から退く




でもやっぱり

またすぐ手が伸びそうだから
枕の下へと押し込んで



その勢いで脱ぐTシャツ







このままシャワー浴びちゃえ









.









髪を泡立てさせながら
視線を前に持ち上げてみれば

自分の肌が映るわけで





飛んだシャンプーを擦る甲に

やっぱ全然ちがうな、なんて
柔さを浮かべてみたりして









昨日触れたAの頬っぺは



なんか、

もっとふわふわしてて






パジャマ越しに絡んだ腕も

ふやけて当たってきた熱は
肌ごとちがう柔らかさで







なんでこんな違うんだろう









目も、



髪も、



肌も、



熱も、









思い出そうとしなくたって

鏡に映った俺だけで
勝手に浮かんでくるもんだから





拾わずにいられなくって
わかりやすく打った鼓動は

詰まる息ごと押し上げて








押し上げられて、

喉が鳴る








やばいやばいやばい、……やばい






吸い込む湿りきった息に
鳴ったきり閉じてた喉はむせて

引ったくったまま掛けるシャワー





脚に滑る泡にもビクついて





「っあー……、」





やっと長く吐き出す声に
追いついて落っこちる首と肩





わかってたけど、重症だ

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