明日も君と、恋をしよう【after】

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どお？当たってる？、なんて

またおっきく頬張る唇は
もごついて返事を待ってるから




「それは、」




とりあえず口だけ開いて




「まぁ、そういうとこもあるかもしんないけど」




後から引っ張り出した声




「でっしょお？」

「なんでそんな嬉しそうなん」

「えぇ？嬉しがってなんかないって」




こっちが考えてた隙に

がっつくだけだった海人は
残りひとくちになってて




「え、早くね？」

「お腹ぺこぺこだったからね」




呑気にへらり開く口元に
最後のひとかけらが落ちる




「んー、おいしかった！」

「そりゃよかった」

「でさぁ？さっきの続きだけどー、」

「え、」

「え？」

「や、どーぞ？」




なんだか全部透かされそうで
声ごと逸らしたくなるのは

おっきく映しては見つめる
その瞳のせい、だと思いたい




「俺がそうやって思うのもね？ちゃーんと理由があんのよ」

「理由、」




うん、って頷いた海人は
ごくりコップを傾けて





「紫耀ってさぁ、俺のこと知ろうとしないじゃん」





細めて睨むフリのその眼





「え、なにそれ」

「俺が何歳か知ってる？」





年下なのは、確実で


そういや入ってきた時に
高3だ、って言ってたっけ





「18、」

「おぉー、正解。じゃあ俺の進路は？」

「進路？」

「高校卒業したんだよ？」





あぁ、店長がケーキあげてたな


けどそっから先の話は
特に聞いた覚えはなくって





「わかんないでしょ。紫耀だけなんも聞いてこなかったもん」

「ごめん、」

「や、別に謝らなくていいんだけどさぁ」





イヤミっ気は全くなしに
しっかり見てくるもんだから

眼を返すしかできないまま





「だって、俺がキライってわけじゃないでしょ？」





出ない声に息だけ飲めば
変なカオ、なんて吹き出されて





「ご飯連れてってくれるしー、しかも送ってってくれるしー……。ほら、バイト中も助けてくれるし」





今日もあったじゃん、とか言って
また海人は勢いづくけど





「だからもうさぁ、」

「うん？」

「むしろ好きの領域じゃん？」





頷くのもなんかちがくって

海人が何を言いたいんだか
迷宮入りかと思ったら





「そりゃ所詮バイトだしさ？いつ辞めちゃうか分かんないけど、」





その眼に俺を映し込んで





「そーやってビビってないでさ」





まっすぐに

手が伸ばされるから





「ちゃんと、俺と友達になってよ」






緩ませた目元を映して

掌を、握り返した

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