ふたつのいと 6

6-26 適温適度と、遊歩道 ページ26

6-26 適温適度と、遊歩道







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今日が平日の夜で良かった。









まばらに人影があるだけで、









こうやって隆二さんにもたれ掛かれる。









隆二さんはゆっくりと私の方を向き、







優しい腕、暖かい胸。







その適温温度に抱きしめられる。









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夜にしか現れない、この景色。









その特別な空間の中、









私は一粒、涙が流れました。









それは、悲しい涙ではなく、嬉しくて、嬉しくて、言葉にはできない








喜びの涙。









顔をくしゃくしゃにするわけでも、嗚咽が出るわけでも、声が出るわけでもない、









上がる口角とは逆に流れる涙。









「なんで泣いてるの？」









気づかれた瞬間、








きつく、きつく、抱きしめてくれました。








隆二さんの優しさは、暖かい。









『隆二さんと、ここに来れてよかった。嬉しいんです』









「嬉しいとAは泣くんだね、覚えとこー」








『覚えててください、ちゃんと』









隆二さんの腰に手を回し、ギュッと。









ゆっくりと顔を上げ、








どちらからともなく、







キスをした。








９センチにまだ少し、踵を上げて。







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「星の上を歩いてるみたい」









下から輝く遊歩道。





ブラックライトで照らされ、人工的に作られたものなのに、









そんな気がしないのは、隆二さんがそう言ったからかな？









「また、来ようね。」









『はい！絶対に』









隆二さんとなら、何度見ても、何度聞いても、飽きないと思う。

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