ふたつのいと 6

6-01 パスポートと、踊らせる ページ1

6-01 パスポートと、踊らせる






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何時間、眺めていただろう。






隆二さんは、何も言わずただ一緒に気持ち良さそうに浮遊する彼らを眺めていた。









『そろそろ、行きましょうか』







「もういいの？」







『見たくなったらまた来ます』







「1人で？」







『隆二さんと！』







「次はAの好きな水族館に行こうよ」







『…遠いですよ？』








「どこ？パスポートいる？」







『国内なんで大丈夫』









「じゃあ近いよ、行こうね、そこ」







『はい』









少し、頭に浮かびました。





あの水槽の前で、隆二さんが笑っているのが。







こんなにもスゴイ、万華鏡の中にいるみたいな所じゃない、あの場所にびっくりしてる姿でした。








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私が何時間も同じ場所でクラゲを見ていたせいで「カップルペンギン見れなかったー」と館内案内を手に隆二さんは少し残念そう。







『ごめんなさい』と私が言うと、「思ってなさそークラゲの方がよさそー」って笑っていました。








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「次は俺のワガママ、聞いてもらっていい？」







隆二さんの言葉はやっぱり、私の胸を踊らせる。

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