ふたつのいと 5

5-38 ピンポイントと、向日葵 ページ38

5-38 ピンポイントと、向日葵





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エレベーターを降り、エントランスとは呼ぶには少し狭い、レンガ調の所に






壁に凭れて、サングラスに、つばの広いハットを乗せるように被っている岩ちゃんさん。









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『お、お待たせしました』







「あ、Aちゃん。なんか雰囲気違うね」






『…変、ですか？』






「いやっ、可愛いなって思っただけっ！行くよ」





『は、はいっ』









岩ちゃんさんの二歩、三歩、後ろを歩く。









「はい、乗った〜」






タクシーをすぐに捕まえて私を先に乗せる。









「なんか嫌いな食べ物ある？」






『…強いて言えば、しいたけ…』






「しいたけ？！そんなピンポイントで言われてもなぁ。」





『しいたけさえ入ってなければ、なんでも好きです』






タクシーの中、そんな会話。







「じゃあ、一番好きなものは？あ、隆二さんって答えなくて良いからね」






『そっそんな事いいませんよっ！食べ物でしょ〜…なんだろう』





「大まかにさ、中華！とか、イタリアン！とかさ」





『大まかに…肉！お肉好きです』




「今度は大まかすぎんな」





キャキャっと岩ちゃんさんは笑ってました





『岩ちゃんさんは向日葵みたいですね』





ふと、頭にそう浮かんだ。





太陽のない向日葵はうなだれて、太陽のある向日葵は輝いている。









「向日葵かー、喜んで良いやつだよね？」





『はい、変な意味じゃなくて！花言葉、�爐△覆燭倭農欧蕕靴き瓩任后�





「向日葵の？俺が？」







『はい、岩ちゃんさんは�爐△覆燭倭農欧蕕靴き瓩任后�






「なんか照れんね」







ツバの広いハットの上から頭を掻いて照れ隠しを。






少しタクシーを走らせると、バカみたいに高いビル。







『あ、あの。どこに行くんですか？』







「今更？ヒルズ。」








『えっ！？』

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