ふたつのいと 5

5-30 慣れた手と、ただいま ページ30

5-30 慣れた手と、ただいま





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『どーしよう…』








玄関の前。取り敢えず、しゃがみこむ。









ん〜と、大きく伸びまでして。









携帯を見るも、もしお仕事中なら迷惑かもと、連絡もできず。









しばらくその体勢のまま。







玲子さんに鍵を借りに行けば早いのはわかってる。




本当は二本あるマスターキーのもう一本は玲子さんが持っているから。







でも、なんだか待って居たくて。








いつか、隆二さんが帰ってくるかもしれないから。








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「何、してんの？」









『あ。隆二さん、お帰りなさい。』









「うん、ただいま。って、何してんの？」








『鍵、隆二さんに預けたままだったから』







「いつから待ってんの？」









『んー、４０分ほど、ですかね？』








携帯を光らせて時間を確認しながらそう。









「連絡して来なよ。俺鍵持ってんの忘れてて…ごめん。」









『ううん、待ってたかったんで、良かった、来てくれて』








ゆっくりと立ち上がろうとすると、スッと隆二さんの手が私の顔の前に。









「はい。」






『はい。』








目の前に出された手を掴み、ひゅっと立ち上がる。








『ありがとうございます。』







隆二さんは慣れた手つきで私の家の鍵を開ける。









「はい。」







開けられたドアに先に入り、『ただいま』と言うと





「おかえり」






なんて、振り向くとニコッと笑った笑顔がありました。

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