ふたつのいと 5

5-01 容姿と、ブレンド ページ1

5-01 容姿と、ブレンド









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『…岩ちゃん、さん？』








先に声を発したのは私でした。







岩ちゃんさんは、右斜め下を見たまま。





私の呼びかけには、反応してくれず。





代わりに、









「お願いがあります」






そう、綺麗な女の人が言いました。









容姿に似合った可愛らしい声は、少し震えていて。









『…なんでしょう。……あっ、立ち話もなんなんで、座りますか？コーヒー、淹れます。』









すぐさま、キッチンに向かい、ケトルを火にかけ、ブレンドを淹れる準備を。








「あのっ」






リビングから、女の人の声。







「…Aさんってお呼びしてもいいですか」







『はい…お好きに、』








手を動かしてないと、心臓が口から出てしまいそうなくらい、バクバクと音を立ててる。









「私、レイカって言います。ごめんなさい、ここまで…」









『レイカさん。言いたいことがあるから来たんですよね？いいですよ。私もお話ししてみたかったんで。隆二さん、もうそろそろ帰ってきますし』








いやだ。話なんてしたくない。本当は。




けれど、女の意地もある。プライドだってないわけじゃない。








大人の対応をしてれば、大丈夫。







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「ごめん、」







岩ちゃんさんは、握りしめた拳をもう一度ぎゅっと握りしめていた。









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「誰か来てんの？」







コンビニの袋をぶら下げて、帰って来た隆二さんの顔は









すぐに見たこともない、表情になりました。

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