ふたつのいと 5

5-06 役目と、涙の音 ページ6

5-06 役目と、涙の音





R side








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その、笑った顔は、俺の一番見たかった顔。








『はぁ〜ほんっと、息が詰まって窒息するかと思ったぁ』






「ごめん」






『鍵はちゃんと閉めないと、ですね』





「ほんと、ごめん」





『…隆二さん、それ以上謝ると殴りますよ？』




「ごめん。」





『だ〜か〜らぁ！……話し、できました？』





「話しってほどもんじゃなかったけど。」





『そう、ですか、でも、レイカさん、綺麗な人だったなぁ。』





「それ、同じこと言ってた」




『ん？』




「んん、なんでもない。」




真っ暗な空に、少しだけ、嘘をつきたくなった。






『泣くのって疲れるんですよね。』





「へ？」





『レイカさん。泣いた痕あったから。めちゃくちゃ悩んできたんだと思います』





「うん」






『私も泣いたら疲れるのよーく知ってるんで。』






俺の方を見た、Aの頬には一本の筋があった。





その筋の元を辿ると、目にはいっぱいの水分を溜めていた。







「ごめんな。ほんと。怖かったろ」









腕を引き、できるだけスマートに。









華奢な肩を抱きしめました。









レイカとは違う、これから始める、の、ハグ。









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Aの涙を止める役目は、俺の役目。








ポンポンと、背中を何度かすると、







かすかに聞こえる。




涙の音。









『隆二さん、ごめんなさい』








泣かせてんの、俺だって。

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