ふたつのいと 3

3-38 勿体ないと、肩 ページ38

3-38 勿体ないと、肩




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｢だって、勿体ないじゃん｣








『も、勿体ない？』








｢うん。好きな人が起きて何してんのとかさ、どんな顔してんの？とかさ。見れるでしょ？寝てたら見れねーじゃん。あー勿体ない！｣








『勿体ない、ですかね。』









｢勿体ないお化け出るよ。｣







『私は逆、ですね。』






｢寝てる方がいいの？｣






『あ、私が起きてて好きな人が寝てるって状況ですけどね。』








｢どうして？｣






ベッドの端と、真ん中。




お互いに鼻から下まですっぽり掛け布団をかぶって。









『好きな人が寝てる姿って、愛おしくなりません？。どんな夢見てるのかなぁ、とか、起きたらどんな話をしようかなぁ、とか、今日はどんな日になるかなぁって考えるのが好きです、私は』









｢案外ロマンチストだな｣









｢そんなんじゃないですって。恋をしてる女の子なら、そんな事を考える時間が好きなんだと思います｣









｢そっかぁ、男には分かんねぇヤツか。｣









『そうかもしれませんね。男脳と女脳の違い？みたいな。』









｢今日は一日何をしますか？｣









『今日はダラダラします。仕事に行くまで。』









｢俺もそうしよーっと。｣







隆二さんは、掛け布団の上から私をぎゅって抱きしめた。







｢この布団、気持ちいいね｣








『……そう、ですか？』






少し肩をすくめて、隆二さんの方に顔だけ向けた。









｢何？襲われるとでも？｣






目を瞑ったまま、隆二さんはそう答えた。








『いやっ、』








｢襲わねーよ。｣







『あ、はい』







｢襲わねーけど、こうしてていい？｣







少し上目遣いで、そう聞くから






『はい』






と、答えた。

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