ふたつのいと 3

3-45 足音と、仇 ページ45

3-45 足音と、仇






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カランコロンと、扉が開く音がした。







スグに、ワイシャツの胸元を引っ張り、そこに顔を埋めた。









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コト、コト、っと足音がする。






ぎゅっと、膝を抱えて小さく丸まった。









｢……なに、してんの？｣







『うずくまってます』






声の主は、カウンター内に入ってきて、







｢また、不審者が来たって？｣







笑ったように聞こえた声。









『そうです。』








｢なんでシャツ、汚れてんの？こぼした？｣







『……あぁ、こぼしちゃいました。手元がくるって。』








｢それ？｣






空になった紙パックを指さした、隆二さん。









『いやっ、…………どうでしょう』









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｢ゴメン。ほんとは聞いた。岩ちゃん、だろ？｣








『いえっ。違います』







｢聞いたのに｣








『違うんですって。ほんとに手元が狂って。』









｢Aってさ、岩ちゃんに思い入れも何もないのになんで庇うの？｣








『いやっ、岩ちゃんさんは関係ないですって。ホントに。気にしないでください。ほんと、大丈夫ですから』








｢そ。Aがそう言うなら信じる。けど、岩ちゃんから連絡来てさ。喫茶店の片隅で女の子が泣いてますよーって。それと、隆二さんの想い人ですかー？って｣







『岩ちゃんさんって、不思議な人ですね。』








｢んー、そう？｣








『だと、思います。多分、すごく気の回る優しい人なんだと思うんですけど、』








｢それが帰って仇となる。って？｣








『そう、じゃないけど……』

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