ふたつのいと 3

3-29 悪魔と、予想外 ページ29

3-29 悪魔と、予想外






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隆二さんは、振り返り、





真っ暗な店内で、







私の目を見て、






ゆっくりと、震える唇に、唇を重ねた。









｢これ、悪いことかな？｣









隆二さんの問いかけに






『隆二さんが悪魔なら。』





と、返した。









ふふって、笑って、





｢早く帰ろ。｣




そう急かされて、鍵を閉めて、セキュリティコードを素早く打ち込んだ。





ガシャン、とシャッターが降りきったのを見届けて、



少し先で待ってる隆二さんのあとを追いかけた。







『まってくださいよ』





｢待ってるって｣









このまま、この関係を曖昧にして




隆二さんの優しさに甘え続けてもいいですか？






隆二さんの背中にそう問いかけたかった。







｢ね？臣、来てたでしょ？｣






ガラガラとキャリーのタイヤが音を立てる。








『はい……』









｢俺さ、臣の気持ちも分かんだよね。｣







『へっ？』




予想外。








｢説明は出来ないんだけど、分かんだよね。｣









『…どういう……』





戸惑う私を無視して隆二さんは、私の手を繋ぎ直した。






｢だからって逃げたくないし、引きたくもないから困ってんだけどね｣




って、笑顔でそう言った。








｢帰ろー。寝みー。｣






『あっ、はい。』







ガラガラ、ゴロゴロと、音を鳴らしながら隆二さんの荷物と一緒に帰宅。

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