ただいま、僕らの初恋 (ページ9)

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ポンコツくんページ9

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ハナ「じゃあまたねー。」

「うん、バイバイハナちゃん。みんなも。」

空がオレンジ色に染まる頃。
数時間に渡ってカラオケを満喫した俺達は、
再び、時計台の前に戻り
バイバイと別れの挨拶をしていた。

ハナは親が迎えに来ていて、
陸と悠木は方向が一緒な香山さんを
家まで送るといって背を向けた。

みんなの背中が小さくなると、
和田さんは「帰ろっか」と言った。

和田さんは電車で来ていたらしく、
駅まで一緒に行くことにした。

家まで送ると言ったけど、
それは申し訳ないし3駅で着くから大丈夫とのこと。
そっか、とだけ言い
俺は自転車を押して、駅までの道を歩いた。

「さっきの、ことやけど。」

駿佑「え？あ、うおっ！」

「わっ！」

流れる沈黙を破ったのは和田さん。
なぜそれに動揺したか自分でも分からないが、
彼女の言葉に驚いて
思わずハンドルから手を離してしまった。

バランスを崩した自転車を上手く支えれず、
ずり下がるように倒れる。

あっちゃ〜と言いながら自転車を立ててると、
彼女は楽しそうに笑った。

「道枝くんって……意外とおっちょこちょい？」

駿佑「陸たちにはポンコツって言われてる。」

「あはは、確かに。ポンコツくんだ。」

駿佑「ちょ、やめてや何それ。」

「道枝くんのあだ名。ポンコツくん。」

駿佑「バカにしてるやろ。」

「してへんよ。いいやん、ポンコツくん。」

駿佑「良くない良くない。」

「ちぇー。」

もう呼んじゃあかんで
はーい、ポンコツくん
俺の話聞いとった？
聞いてたよ、ポンコツくん
あー、もう！忘れてや！

和田さんは凄く楽しそうで、
俺も、凄く楽しくて

嫌だ嫌だ、なんて言ってるけど
彼女の口にする「ポンコツくん」って響きが
やけに耳に心地が良かった。