ただいま、僕らの初恋 (ページ19)

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告白ページ19

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香山「ジンクスのこと話したあとで、きっともう分かってると思うねんけど……うち、駿佑が好き。」

少し肌寒い風が、
ふたりの間を吹き抜ける。
遠くで、同級生たちの喧騒が聞こえた。

香山「一年の時、一目惚れして、そっからずっと好きやった。せやからハナカに、同じ班に入れてって頼んだ。駿佑がハナカ達と同じ班やったから。」

駿佑「…………リコ。」

香山「絶対に、駿佑の夢を邪魔しないって約束する。せやから…………うちと付き合ってほしい。」

リコの目は真剣だった。
暗闇の中の、少しの明かりですらもわかるくらい
その顔は赤く染っている。

リコは可愛い。
明るくて、話しているとすごく楽しい。
陸たちが可愛いと言ってるのも
聞いたことがある。

でも俺は、リコがどれだけ良い子だろうと
あの子以外は考えられなかった。
考えたことがなかった。

だから、答えは決まっている。

駿佑「…………気持ちは嬉しい。けど、ごめん。」

香山「……どうして？」

駿佑「……………好きな子がおんねん。」

香山「それって……」

駿佑「……ごめん。リコの気持ちには、答えられへん。でも嬉しかった、ありがとう。」

彼女はゆっくりと俯く。
再び顔を上げたときには、
目にうっすらと膜が張っていた。

香山「……分かった。でもひとつだけ、」

駿佑「…………なに？」

香山「キス、してほしい。それでちゃんと諦めるって約束するから。」

駿佑「…………リコ。それは、」

香山「お願い。お願いや、駿佑。」

リコの声は震えていた。
きゅっと唇を噛み締めたのが見える。

良心が傷んだ。
だけど、好きな子以外へのキスなんて
出来るはずもない。
でも断れば、彼女はもっと悲しんでしまう。

どうしたらいいんだろう、と
悩んでいるうちに、リコはふと笑った。

香山「……あはは、嘘。冗談や、冗談。ごめんね、変なこと言って。困っちゃったよね。」

忘れて、と言った彼女の声は
やっぱり少し震えていて
俺は、どうしようもなくいたたまれない
気持ちになった。