ただいま、僕らの初恋 (ページ17)

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告白の手伝いページ17

．

香山「うち、駿佑が好きやねん。」

そう言われたのは、その日の夕方だった。

「…………えっと、…そう、なんだ。」

香山「Aちゃんは？」

「………え？」

香山「Aちゃんは、駿佑のことどう思ってるん？」

「…………どうって、」

誰もいないコテージのテラス。
香山さんは、少し鋭い目付きで
私を見つめていた。

香山「駿佑のこと、好き？」

「いや、私は別に…………」

香山「そっか、良かった。……じゃあ、うちと駿佑のこと協力してや！」

「…………え。」

香山「Aちゃん、駿佑のことなんも思ってないんやろ？こんなこと頼めるの、Aちゃんしかおらんねん！」

いつの間にか目付きは鋭くなくなっていて、
なんだか少しだけ、怖くなった。

照れくさそうに、
はにかむように笑う香山さん。
道枝くんは、こういう子と付き合うんだろうか。

艶のある髪も、大きな瞳も、
動けば香る女の子らしい香りも。
全部、私にはないもの。
どこまでも香山さんは、女の子だ。

香山「……Aちゃん？」

「え？あっ…………ごめん。」

黙って自分を凝視する私を
不思議に思ったのか、
香山さんは少しだけ眉を顰めた。

だけどすぐに表情が戻る。

香山「今日のキャンプファイヤーのとき、駿佑に告白するつもりやねん。」

「……こく、はく。」

また、あの日の彼の言葉が
頭の中で再生される。

香山「このテラスに駿佑を連れてくから、Aちゃんには扉の前で見張っててほしくて。」

「見張る？」

香山「誰か来たら、恥ずかしいやろ？」

まただ。また、
いじらしくはにかむ姿。
なんだか、目眩がする。
道枝くんを思って、そんな表情をしてるんだろうか。

香山「ええ、かな？」

「………………うん、ええよ。」

私には、彼女の頼みを断る理由がない。

私は彼の彼女ではないし、
彼のことを好きではない。
ましてや、友達かも危うい存在だ。

ならば、引き受ける以外に選択肢はないだろう。

香山「ほんとに！？ほんまにありがとう！じゃあ、駿佑を＿＿＿」

ぎゅっと手を握られて、
上下にぶんぶんと振られた。
笑いかけられて、私も笑いかける。
「頑張ってね」と、口にした。

彼女がその後、告白の段取りを話していたけど
なぜかそれが遠くで聞こえて、
鼻の奥が、ツンと痛かった。