ただいま、僕らの初恋 (ページ13)

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好きになったらページ13

．

「…………だめだよ。」

和田さんはそう言った。
悲しそうな、切なそうな笑顔で。
確かに、だめだと言った。

駿佑「………どうして。」

だけどそこで素直に、
そっかと言えるような自分じゃなかった。
彼女という存在に
どうしても、惹かれてしまっていた。

駿佑「好きになったら……あかん？」

「……だめ、好きになったらあかんの。」

駿佑「なんで。」

「…………なんでも。」

納得はもちろんいってなかった。
片思いをするなら、
こちらの勝手ではないかとも思った。

だけどあまりにも彼女が
寂しそうな、苦しそうな顔をするもんだから
そんなの口に出せるはずもなかった。

駿佑「…………わかった。」

「…………道枝くん、でもっ……」

駿佑「…………でも？」

「っ…………なんでもない。帰ろう。」

彼女はううん、と首を振り
そそくさと筆記用具を鞄にしまう。

緊張で握りしめていた拳から
そこでやっと力を抜いて、
俺も帰る支度をした。

「…………じゃあ、またあした。」

駿佑「……うん、また明日ね。」

そういって、その日は別れた。

途中で振り返り、
小さくなっていく彼女の背中を見つめた。

寂しそうに、弱々しく見えた。