ふたりのカタチ《Kei.I》

０５. ページ5

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よみがえってくる一週間ほど前のこと。





あの日もいつも通り、伊野尾の家で呑んでいた。




ツマミと酒を囲んで、ふたりでくだらないことで笑っていた時だった。





ピンポーンというインターホンと同時に『けいくーん♡』と部屋に上がってきた彼女。





あたし達の姿を見ると、それまで笑顔だったレイナちゃんの顔は一気に真っ赤になった。





伊野尾を睨むわけでもなく、彼女の怒りをぶつける相手はあたしだった。





そりゃあ、怒るだろう。





伊野尾の部屋着を身にまとい、酒を呑みながらゴロゴロしてる女がいるのだ。






あー伊野尾たすけて。彼女に説明してあげて。と思っていたら





レイナ「どうせ、あんたみたいなブス、遊びに決まってるじゃないっ！！！慧くんも趣味悪い！！」






ブスだと自分のことを言われるのは、もう慣れっこだったし、

その通りだからどうでもいいんだけど。






「伊野尾のことアソビ人みたいに言うな！！！」




と、酔った勢いで言い返してしまった。





あーやらかした…と思った時には時すでに遅し。



レイナちゃんは号泣。





伊野尾がフォローするのかと思いきや、





慧「酒まずくなる。帰って。」





いつものふにゃふにゃした声で号泣した彼女にさらに追い打ちをかけた。






レイナ「ありえない！！！もう別れるっ！！！！サヨナラ！！！」





そう叫びながら勢いよく帰って行ったレイナちゃん。





伊野尾は彼女の背中を見ながら「フラれちった〜」といつもみたいにヘラヘラと笑った。






慧「Aとの関係に文句言ってくる奴はムリだわ〜」



と、ビールを飲みながら言った。






普通の女の子だったらさ、ズッキュン♡とかなっちゃうんだろうけども。




こんな言葉、伊野尾にとってはフツーで。


干からびたあたしには全く届かない。



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