ふたりのカタチ《Kei.I》

１１. ページ11

.





「…どう思う？」


慧「どう思う？って言われても…」




いつも通り、缶ビールを呑みながらボリボリと柿ピーを食べる伊野尾。







結局、最後は男の人の圧に押されて

「…じゃあ、お願いします」なんて言って連絡先を交換して別れた。




やばい！！モテ期きたーーーー！！！！


この事をとにかく早く伝えたくて、

ルンルンで伊野尾の家に転がり込んで即効報告。



興奮して話すあたしを見ながら、

「ふぅ〜ん」なんて興味のなさそうに、伊野尾はお酒を飲んでる。



別にいつもの事だからいいけどね！

今さら気にしないわ！！！



グイッと自分も一緒に飲みながらiPhoneの画面に表示されてる名前を見る。


思い出すさっきまでの出来事。





鈴木啓介さん。


都内の大手証券会社に勤めているらしい。



とにかくイケメンで背が高くて。

私のタイプの ど真ん中を射抜いてきた。






「どうしよう…なに着てこう…」


慧「いいだろ、いつものトータル5000円コーデで。」


「アカン、それはアカン！！！」





仕立てのいいスーツを着てた鈴木さん。



伊野尾が言う 地元のデパートのバーゲンで買ったやっすーい服たちでは、

イケメンの横は 絶っっっ対歩けない！！！





慧「俺の横歩く時、そういうのばっか着てるじゃん」


「だって、伊野尾だもん。」


慧「こんなにイケメンの横歩いてるのに？仕立てのいいスーツ着てるのに？」





首をかしげて、じっとこちらを見てくる伊野尾。


かわいいな、おい！！おまえは女子か！！！




…悔しいけど、仕立てのいいスーツは認めてやる。



でも！！


イケメンと可愛い系男子は あたしの中では別物だし！



いや、まず伊野尾と一緒にい過ぎて

『やば！かっこいい！！イケメン！！！』なんて今さら思わない。





慧「俺の方がイケメンだろ☆」




パチコーン☆なんてウインクしてくるけど

なんのトキメキも感じられない。

.

１２.→←１０.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す