□ ページ13
.
アオハルだなあって、思う。
だってこんなこと、きっと、おとなになったらできなくなっちゃう。
校舎の隅は薄暗くて、ほとんど存在すら知られていない1号館の最上階にあるゼミ室は、ひっそりとつめたいにおいがする。
薄いカーテンからは光が漏れていて、外の音がくぐもってきこえた。
だれかの笑い声。足音。
すぐそこが部室棟だから、もしかしたら知ってる声もきこえてくるかもしれない。
「・・・亮くんって、」
錦「ん？」
鼻先でゆれる睫毛はいつものようにうつくしい影を落として、その奥に隠されたひとみは、朝露のようにつやつやと光っている。
彼は口角をあげて、わたしがだめになるあの顔で微笑んでいて、ふいにちらりとのぞいた舌が、真っ赤ですごく美味しそうに見えた。
「たまに、いじわる、だよね」
錦「ほんまに？」
「うん・・・いまも、いじわる」
もうそろそろ、本当にどうにかなりそう。
どう考えたってわたしはこのひとのことが好きすぎて、それだけでもう苦しいのに、こうして腕の中に閉じ込められて、何度も何度もくちびるを合わせて、
錦「なあんでそんなん言うん」
「だって、」
錦「ん？」
「・・・だって」
わたしが今にも溶けそうになっているの、わかっているくせに。
錦「なあに」
その形のいい指で、わたしの頬をやさしく撫でて、もはや意味がわからないくらい甘い声で、
錦「なにが欲しいん？」
なんて、
「・・・りょう、くん」
錦「俺？」
「・・・うん」
錦「俺はもうAちゃんのものやん？」
そう言っていたずらっぽく笑うあなたが、ふわふわの前髪を揺らすたび長い耳がふらふらと動く。
・・・耳？
「あ、れ？」
錦「なしたん」
「りょうく、うさぎさん・・・？」
感覚がじょじょにぼやけていく。
視界がねじれて、なんだか耳の奥がぐるぐるする。
ぼうっとしたまま亮くんの顔を見上げていると、ふいにそれが近づいてきて、ゆっくりと、またくちびるが重なって＿＿＿＿＿＿＿＿＿
錦「・・・いただきまーす」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3393人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぁぃ岡ちゃん(プロフ) - べにさん！！！泣 まさかの戻ってきた！双子！大好きです！！！ 私が誰かなんてわかんないと思いますが、ずっとリアルタイムで読んでました大好きです！短編も楽しみすぎて泣いてます！！！ (2019年7月31日 19時) (
レス) id: d190480648 (このIDを非表示/違反報告)
べに(プロフ) - ココナッツさん» 戻ってきました〜〜〜！！！！！笑 (2019年7月22日 1時) (レス) id: e3692f9d07 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - くわあああ!!!!!!!!!!!!べにさぁぁぁん！！ (2019年7月21日 19時) (レス) id: 5d604581ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：べに
| 作成日時：2019年7月21日 2時
